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福谷投手に続けるか!?元・守護神の先発挑戦物語

 中日ドラゴンズは今季、中継ぎ投手だった岡田俊哉投手(30)、鈴木博志投手(24)を先発に転向させています。両投手ともかつては竜の守護神を務め、勝利の瞬間をマウンドで迎えていました。しかし、近年は不調で守護神の座を譲っていました。そんな岡田投手、鈴木投手に突然訪れた先発転向。大胆な選手起用を魅せる立浪ドラゴンズにとって、命運を握る二人となるかもしれません。

福谷投手が大成功

 今季から先発に転向する岡田投手、鈴木投手。そんな竜の守護神を務めた経験のある投手が全く違う役割の先発に転向することになります。先発としてイニング数を稼げるのか、1年間ローテーションを守れるのか。様々な不安がありますが、ドラゴンズには守護神から先発に転向し、大成功を収めた選手がいます。福谷浩司投手(31)です。

 福谷投手はプロ2年目の2014年、72試合に登板して11セーブ、34HP、防御率1.81と中継ぎ投手として圧倒的な成績を残しました。そして翌年、自己最多となる19セーブを挙げ、若くして竜の守護神の座を務めました。しかし、徐々に登板数を減らし、2019年にはわずか1試合のみの登板に終わりました。ただ、このわずか1試合の登板が福谷投手を再起の道へと導いていきます。

 翌年の2020年、福谷投手は先発投手として14試合に登板し、8勝2敗と好成績を残しました。それまで2年間勝ち星のなかった福谷投手ですが、先発という新しい道を見つけ、かつてのドラフト1位右腕の才能をもう一花咲かせました。そして2021年、チームの顔となる開幕投手に選ばれ、各球団のエース級投手と投げ合うほどにまで成長しました。成績こそ5勝10敗と黒星が先行し、故障もあってフルシーズン戦うことはできませんでした。しかし、ローテーション投手として福谷投手の名前が忘れられることはなく、チームに必要な投手として今季も活躍してくれるでしょう。

未知数な領域

 ただ、岡田投手、鈴木投手が福谷投手のように活躍できるかは未知数で、まだ先発適性など分からないことは多い印象です。岡田投手は3月12日、阪神とのオープン戦に登板し、5回3失点と試合をまとめました。しかし、6四死球と自慢の制球を乱し、敗戦投手となりました。

 鈴木投手は3月8日、オリックスとのオープン戦に登板し、5回無失点と好投しました。被安打6本とイニング数を上回る安打数を打たれましたが、5奪三振を奪うなど粘りの投球を魅せました。

 オープン戦の残り試合数も少なくなり、開幕までの登板機会も限られてきます。わずか数試合の登板で先発の適性を見極めることは難しいですが、岡田・鈴木両投手とも本来の持ち味を失ってほしくはないと考えています。岡田投手なら糸を引いたように捕手のミットに収まるキレのある球が持ち味です。鈴木投手はやや粗さはありますが、球威のある直球が持ち味です。先発にしろ、先発が上手くいかなくて中継ぎに再転向したとしても、自分の持ち味だけは見失ってほしくないと考えています。

立浪監督・落合ヘッドの眼力

 しかし、立浪監督就任1年目で竜の守護神を務めるまでの投手だった岡田投手、鈴木投手を先発に転向させることに驚きを隠せませんでした。確かに近年、2投手とも成績を落とし、苦しいシーズンが続いていました。ただ、中継ぎとして実績のある投手で配置転換することは考えてもいませんでした。そんな2投手に対し、再び才能を開花させるために荒療治を行うことを決断した立浪監督と落合ヘッドコーチ。もし、先発転向が成功すれば選手を見る眼が非常に優れていることになります。そして来年以降、さらにポジションを転向する選手がでてくるかもしれません。いずれにしろ、先発転向が成功だったのか、失敗だったのかはシーズンが終わらないと分かりません。今はただ、先発という新しいポジションで生き残りを懸ける岡田・鈴木投手を応援し、どのような物語を作ってくれるのか見守るしかないのかもしれません。


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