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カスタマーサクセスとは#2-6(後半)

今回はカスタマーサクセスを人海戦術にしない自助・互助の基盤づくりの詳細についてです。
実は#2-6を一つにしていたのですが、文字数が5,000文字を超えてしまい、ちょっと読むのがしんどいな。ということで2つに分けました。

参考図書

原則5-1 自助・互助が促進される基盤を丁寧に育む

・多様性に富む自助・互助の基盤を最初からすべて完璧につくることはナンセンス
最適な基盤は、各社・時々のカスタマーに依存する
・その時々の目的を明確にしながら整備することが重要
・基盤づくりの目的には3つの要素があり、どれか一つないし複数該当する
目的①:カスタマーの教育ないし問題解決
+「使い方を知りたい」「問題を解決したい」「もっと活用したい」といった顕在的なニーズに応える基盤づくり
+基板上のコンテンツが分かりやすいことは大前提
+様々な形態・出所のコンテンツの一元管理、効果的なタイミングに最適コンテンツを届ける学習進捗管理、セルフ学習や問題解決を動機づける仕掛け、首尾一貫した効果的なコミュニケーションなどが重要
目的②:オンボーディングないしアダプションの意識付け
顕在化していないニーズ、すなわちプロダクトに適応・熟達することへの意識が薄いカスタマーに活用したいという気持ちを抱かせる基盤づくり
+一定期間の利用率が低い場合に「使ってみましょう」というメールを送信したり、活用事例を紹介したりして活用の意識を刺激する
対象のカスタマーはプロダクトの活用に苦戦したり問題を抱えたりはしていないが活用がなおざりになっている
+望ましいオンボーディングやアダプションへの軌道修正を図る
目的③:買いあがりの機会深耕
+プロダクトを使って期待した成果を出したカスタマーに対してアップセル/クロスセルなどの買いあがりを刺激する基盤づくり
どのカスタマーに「いつ、どうやって、なにを」提案するかというプッシ型アプローチの精度を磨く
+またプロダクトを大いに活用して成功しているユーザーを発見し、育成し、光を当てて広く推奨してもらったりするプル型アプローチを展開する

・目的が定まったら、「基盤の運用プロセス」「活用するテクノロジー」「担当者の役割と責任」を決め、実際に運用しながら磨き込む
・基盤を作成したら、効果を測定してトライ&エラーを繰り返し効果的にしていくことを前提としてプログラム作成が重要
注意点は、自助・互助の基盤は社外の人の手や知恵を活用するので売り手のコントロールを効かせにくいため、基盤づくり全体をリードする責任者が必要
基盤づくりには種まき(目的を決めプログラムを作る)と栽培(フィードバックループを回して磨き込む)が必須

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P169~173参照

<原則5-1の所感>
「単に売って終わり」ではないリテンションモデルにおいてカスタマーサクセスが重要なことはここまでで十分すぎるほど理解してきました。
ただ毎日顧客にCSMがベッタリくっつくわけにもいかないため、こうした仕組みづくりが不可欠ということが理解できました。
これはCSM単独では構築まで難しいため、別の人材要件を決めて採用を進めないといけないですが、なかなか居ないのでは?と思ってしまいます。
仕組み作りをディレクションできる人はいても、実際に構築できる人は希少人材かもしれないです。

原則5-2 マーケティング機能をバージョンアップする その1:各部門に必要なマーケティングスキル

・原則4-2でカスタマーマーケティングを紹介した
※リテンションモデルでは、カスタマーが契約にサインした瞬間に契約更新に向けたマーケティングが始まる。カスタマーサクセスの世界ではこれを「カスタマーマーケティング」という
見込客ないし需要の創出を目的とした従来のマーケターを「ハンター」とするなら、顔が見えるカスタマー相手のマーケターは「ファーマー」と言える
・リテンションモデルにおけるマーケターの目的はリテンション率(チャーンレートの逆)と企業単位の収益成長率の向上
・カスタマーマーケティングとはマーケティング部門の仕事と誤解する人が多い
・リテンションモデルにおいては、あらゆる部門でマーケティングスキルをもつ人が活躍する
<各セクションで必要なマーケティングスキル>
①マーケター
+各マーケティング施策を企画・運営をリードして買いあがりの見込み機会を創出し、効果的なコミュニケーションのゲートキーパー役(=品質の見張り役)として活躍
②CSM
+各施策のターゲティングやそのためのデータ分析をしたり、NPS(Net Promoter Score)調査など各種フォローアップ調査を企画・実施する
+カスタマーを熟知した視点が重要な部分で活躍
③サポート部門
+セルフ解決に役立つコンテンツのポイントや効果的なタグ付け、予防につながるリスク事象や連絡タイミングの定義づけなど
+問題解決の視点が重要な部分で活躍
④営業部門
+従来のアカウント管理の域を超えてチャンピオン(大いに成功しているカスタマー)を育成したり、買いあがりを好機と捉えて提案など
+カスタマーマーケティングを売上につなげる部分で活躍

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P173、174参照

原則5-2 マーケティング機能をバージョンアップする その2:自助・互助の基盤運営

・自助・互助の基盤運営はカスタマーマーケティングの一つだが、これを運営するだけでない
自助・互助の基盤運営以外にも必要なマーケティング活動は多くある
・例えばハイタッチでの育成・支援が必要な大手カスタマーに対する研修プログラムの企画と実施、成功事例や推薦動画への登場依頼など
・基盤への着手は、組織のマーケティング機能をカスタマーマーケティング視点に基づいて全体最適なマーケティング機能へとバージョンアップする良い機会
<自助・互助の基盤運営の3つの検討ポイント>
ポイント①:カスタマーマーケティングの目的と目標値/成果指標の決定
+カスタマーマーケティング全体の目標と成果指標を明確してから、基盤づくりの目的と効果測定の方法を決める
+カスタマーマーケティングの目的に照らした目標は、さまざまなスキルをもつ人材や他部門連携を前提に目標を定義するべき
例えば、オンボーディング成功率の改善度を目標とし、関与する部門やチームへその目標を分解していくことが重要
ポイント②:カスタマーマーケティングの役割と責任の決定
+役割と責任を明確にすることで、基盤運営という視点の部分最適、すなわち業務が重複したり既存ナレッジが活かされない、同じカスタマーに複数のチームから連絡が届くという事態を避けることができる
ポイント③:カスタマーマーケティングへの予算配分の見直し
+リテンションモデルでは、通常2年目ないし2年目以降の契約から受け取る収益が全体の過半数を占める
しかし新規顧客獲得にマーケティングコストを多く振り分ける企業が多い
+カスタマーマーケティングのコストを想定的に多くするような大胆な予算編成が必要
従来型では単年でマーケティングコストの費用対効果を示せた一方、カスタマーマーケティングは効果が見えるのに長期間が必要

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P174~177参照

<原則5-2の所感>

原則5-2は本書ではひとつなぎで記載されていますが、ここではその1とその2で分けました。
noteでまとめるにあたって、冗長だと読みづらく感じるので細かく分割していくことが重要と分かりました。
これはアウトプットした結果を自分で見直すことで、せっかくインプットした情報を振り返る際に必要です。
思わぬスキルを約1ヶ月のnote経験で会得しました。


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