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プロダクトマネージャー(PdM)になるために_#8_熱狂させる製品を見つける準備と計画

IT業界で引く手あまたのPdMについて学習しています。
前回#7_顧客が喜んでくれるプロダクトを探す意味からはパート④に移り、成功するための「プロセス」にテーマが変わりました。

成功するためには何と言って製品発見に尽きる

ということで成功する製品を発見するための10個のうち、テクニック①、②について解きほぐして行きます。
文字数:4,200

成功する製品を発見する10のテクニック
<① フレーミングテクニック>

<② プランニングテクニック>

<③ アイディエーションテクニック>
<④ プロトタイピングテクニック>

<⑤ テストテクニック>
<⑥ 実現可能性テスト>
<⑦ ユーザビリティテスト>
<⑧ 価値のテスト>
<⑨ 事業実現性テスト>

<⑩ トランスフォーメーションのテクニック>

参考図書

④ 成功するためのプロセス~製品の発見のテクニックPart.1~

概要 ①フレーミングテクニック

主要なリスクを特定するためのフレーミングに対する2つの目標

1、目的の明確化と整合性という点において、開発チーム全員が確実に同じ立場に立つようにする
何をもって成功であるかについて合意形成しておく、そしてOKRに結びつけて管理する

2、製品発見の過程で取り組むべき大きなリスクを特定する
・多くの開発チームは取り組みやすいリスクに引き寄せられる

厄介なビジネスのリスク(以下を6つ)は早めに着手すべき
1、財務面:開発する資金的な裏付け
2、事業開発面:パートナーへの貢献
3、マーケティング:企業ブランドとの合致
4、販売:販売チームが売る態勢
5、法的:法律、コンプライアンスへの準拠
6、倫理:倫理的に正しい開発

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P195〜199

◼️Chapter35 市場機会評価のテクニック(新機能の追加など比較的小規模の開発時に利用)

・PdMは製品発見の仕事を始める前に、開発チーム全員が以下4つの問いの答えを理解しているか確認する

1、ビジネスの目標(Objective)
・例として「成長の問題」「新規顧客獲得時間」「他社への乗換え率」など開発チームに割り当てられた目標の1つ以上に対応する

2、主要な結果(Key Results)
何を持って成功とするかの指標を決める

3、顧客の問題(Customer Problem)
顧客のために解決したい問題を明確にする

4、ターゲット市場(Target Market)
1番の受益者は誰なのかを製品開発チームに確認させる
・多くの開発が失敗するのは、すべての人を喜ばせようとして、結局誰も喜ばせることができない

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P200〜202

◼️Chapter36 カスタマーレターテクニック(デザイン見直しなど中・大規模な開発時に利用)

・小規模で典型的な仕事であればChapter 35の市場機会評価で十分
・規模が大きくなると価値を効果的に伝えるために4つの質問以上のものが必要
・典型的な例としては、デザインの見直し

・有名なAmazonのテクニックにワーキングバックワードプロセスがある。
これは製品開発を架空のプレスリリースから始めるものであり
+どのように顧客の生活を向上させるのか
 +顧客にとっての実際の利益はなにか

を作り込むことで開発チームに先行して仕事のフレームを作る

・このワーキングバックワードプロセスに記載されているアイデアの利点だけでなく、顧客が書いた仮想的なカスタマーレターも有効

<プレスリリース形式でなくカスタマーレター形式が良い2つの理由>
1、プレスはIT業界では古くさく、昔ほどの役割を果たさない
2、顧客の現在の悩みへの共感を生む効果が高い

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P203〜205

◼️Chapter37 スタートアップキャンバスのテクニック(新しい製品の発明などに利用)

・新機能の追加など比較的小規模
  →市場機会評価の4つの質問
・デザイン見直しなど中・大規模
  →カスタマーレター


・ここからは既存製品の改良でなく完全に新しい製品の発明が必要な場合、もっと広範囲な以下のようなリスクを抱える
+ バリュープロポジションの立証
 + マネタイズ方法
 + リリースと販売計画
 + コスト構造の詳細化
 + 予実管理スキームなど

・従来広範囲なリスクに対して事業計画書を作りそこにアクションプランを作成してきた
スタートアップキャンバスは従来の事業計画書よりも効率的にリスクを発見し、開発に前もって取り組ませるための軽量なツール

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P206〜207

本書ではスタートアップキャンバスのフレームワークや作成方法までには言及されていません。
ただしリーンキャンバスなどで検索すれば分かりやすいサイトが相当数ヒットします。
以下は参考です。

概要 ②プランニングテクニック

・製品発見のフレームができ、ソリューションを考え出すプロセスに入る
・複雑な製品開発では何らかの方法で製品発見の作業を詳しく検討し、その計画を立てることが必要
・以降、2つのテクニックを紹介していく
1、ストーリマップ   :シンプル
2、顧客発見プログラム :かなり複雑

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P211

◼️Chapter38 ストーリーマップのテクニック

・ストーリーマップはユーザーストーリーが羅列された典型的なバックログに対する不満から生まれた

・ストーリーマップは2次元で
 横軸:主要なユーザーアクティビティを大まかな時間軸で並べたもの
 縦軸:詳細さのレベル。主要なアクティビティーから一連のユーザータスクを具体化しながら、各タスクにストーリーを加える


・これによって文脈が生まれ、あるストーリーがどのストーリーと結びつくのかを開発チーム全体が把握できる
・開発チームは時間の経過とともにシステムがどんなふうに発展していくのかも知ることができる

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P212〜214

※参考:概要から作り方、整理の仕方まで細かく紹介してくれています。

◼️Chapter39 顧客発見プログラムのテクニック

・PdMの仕事は、ビジネスを維持できる製品を作ること
・強力な製品がなければマーケティングの顧客獲得コストは高騰する
・ここからは、強力で実現可能な製品を確実に開発し、その有効性を立証するテクニックについて説明する

<リファレンスカスタマーの力>
・リファレンスカスタマーとは現実の顧客であり、リリースされた製品を使いお金を支払い、どれだけ製品を愛しているかを進んで話をしてくれる顧客
・顧客発見プログラムは、リファレンスカスタマーを生み出すようにデザインされている
・このテクニックはPdMに相当な努力が必要

・顧客発見プログラムは4つの異なる状況に応じた4つの主要なバリエーションがある
タイプ1、ビジネス向けの製品を開発
タイプ2、プラットフォーム製品を開発
タイプ3、自社社員が使う顧客対応ツールを開発
タイプ4、コンシューマー向けの製品を開発

<1つのターゲット市場>
・開発チームには、一つの市場に対して6つのリファレンスカスタマーを獲得するまでは製品を市場に出さないようにすることもある
→特定のターゲット市場のためにリファレンスカスタマーの開拓に集中する
・リファレンスカスタマーこそ、成功の証拠

<リファレンスカスタマーの候補を集める>
・技術者の関心はビジネスの価値より技術に向きがちなので、技術者は除外する
・我々と一緒に仕事をする人や時間を提供してもえる顧客

<リファレンスカスタマーとの関係>
・リファレンスカスタマーは結果として生まれた製品が役に立ったときには製品を購入し、パブリックリファレンスの役割も果たしてくれることに同意してくれる
PdMとして重要なことは、6つのリファレンスカスタマーが要望する機能をすべて取り入ることではなく、1つのソリューションで6つの顧客に役立つものを考え出すこと
・4つか5つのリファレンスカスタマーを集めることにも苦労している場合は、PdMとしてそれほど重要でない問題を追いかけている可能性が高く、ほぼ確実にその製品の販売はうまく行かない

<まとめ>
・PdMにとって顧客発見プログラムは大変な労力を要する
・このテクニックは必要な製品を生み出すためのものでなく、開発チームがターゲット顧客に直接アクセスできるものであり、必要な製品のアイデアを顧客と一緒に見つける

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P215〜227

<④ 成功するためのプロセス~製品の発見のテクニックPart.1~の所感>

今回のタイトルは製品発見の準備と計画というタイトルにしました。

製品発見は4つのリスクを乗り越えるための必要十分条件であり、最初をしっかりしないと何も進まないと理解しました。

もちろん幾多の失敗を繰り返し製品化していく過程もまた必要だとも理解していますが、今回は「準備を怠るな」というメッセージを強く感じました。

プランニングテクニックの顧客発見プログラムは、プランニングというよりほぼ実装ではないか?と思いました。
ただリファレンスカスタマーを獲得できて初めて製品化につながるという最初のゲートの重さに少し衝撃を受けました。

■一つの市場に対して6つのリファレンスカスタマーを獲得するまでは製品を市場に出さない
■4つか5つのリファレンスカスタマーを集めることにも苦労している場合は、PdMとしてそれほど重要でない問題を追いかけている可能性が高い

嘘だろ・・・と読みながら思ってしまいました。
PdMの多忙さと精神的なタフさはここに凝縮されているのかもしれません。

まだまだ製品発見を成功させるテクニックは序盤なので、読み進めていきます。


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