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PdMをもっと深く知る_#3_多種あるモノサシを知る

PdMについてもって深く知るというテーマで読み進めていますが、内容は実践よりでソフトウェアビジネスに関与する人であれば、誰が読んでもそんのない内容だと思います。

前回はプロダクト主導型組織を推進するための3つの目標(戦略、運用、顧客)の設定方法について学びました。

今回はその目標の進捗を測定する方法についてまとめていきます。
文字数:約3,300

参考図書

第1部 データを活用して優れたプロダクトをつくる

・直感や過去の経験に頼ってプロダクトに関する重大な意思決定はもはやできなくなっている
・定量/定性データの両方でどのようなものを計測するべきかとその理由およびそれをどのようにして実用的なインサイドに変えるかについて取り扱う
戦略上と運営上の目標、および顧客の目標を達成するために追跡が必要なメトリクスを取り扱う
・メトリクスの難しさは、無限に近い可能性の中から選択すること
・メトリクスの選択は目標を念頭に置き、常にWhyで思考する

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P23、24、32

2.測るもので決まる

■プロダクトチームこそビジネスメトリクスを持つべき

収益は素晴らしい指標ではあるが、遅行指標でありプロダクトチームが100%コントロールできない
・現在のソフトウェアプロダクトは、クラウドでホストされリアルタイムにメトリクスにアクセスできる
・メトリクス選択時に重要なことは、完全性、つまり収集しようとするデータ項目間やデータと目標との間にギャップを作らないこと

■戦略上のメトリクスとビジネスメトリクス
プロダクトチームがビジネスメトリクスに責任を持つ必要がある

<ビジネスメトリクス>
①収益、ARR/MRR (Annual/Monthly Recurring Revenue)
・ARR、MRRを正しく扱うことができれば、遅行指標でなく予測可能な収益性の高いビジネスにつながる
・顧客の課題解決という責務を果たすことができなければ、別のプロダクトに乗り換えられてしまうリスクは永遠に抱える

②コンバージョン率(CVR:Conversion Rate)
・無料トライアルユーザーを有料ユーザーに切り替える割合

③CAC (Customer Acquisition Cost)
・顧客を獲得するためのコスト
顧客を獲得し、コンバージョンさせるために必要なマーケティングと営業コスト

④LTV (Lifetime Value)
・顧客に関連する将来の潜在的な収益の指標
・顧客維持と拡大の想定を踏まえたモデル

⑤NRR (Net Revenue Retention)
・少数の顧客を失う(Churn)することはあっても、維持している顧客との関係の中で価値を拡大する方法を見つける前提であり、100%を超える値が期待される

⑥粗利、EBIT

⑦Winレート
・プロダクト開発と市場投入の投資に対する利回り
・利回りが高いほど良いポジションに居る

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P58~63

■運用指標

・プロダクトチームは先行指標を計測し、目標設定する必要がある
・ビジネス成果と相関のあるプロダクトの運用指標の例を挙げていく
①時系列での利用状況
・顧客維持は利用状況にかかっている
・プロダクトのアクティブな利用状況を表す指標としてMAU(Monthly Active Usage)、WAU (Weekly Active Usage)、DAU (Daily Active Usage)がある
・利用率が高い=良い結果とは必ずしも限らないので、アクティブな利用状況が何を意味するのかは定義する必要がある

②粘着度
・プロダクトに粘着性があると、ユーザーにとってプロダクトが習慣化する
・粘着度の具体例として、DAU/MAUで月間ユーザーのうち毎日戻ってくれるユーザーの割合などがある

③機能の定着率
機能継続率と離脱パターンをより深く理解する
・機能の定着率はアカウントレベルとユーザーレベル両方で確認することが重要
アカウントレベル(企業レベル)で計測すれば、役割によって当該機能を必要としなかったケース除外できる
ユーザーレベル(個人レベル)で計測すればターゲットとなるペルソナの行動を理解できる

④機能継続状況
どの機能がユーザーのリピート率を高めているかを理解すれば、ユーザーの利用頻度を高めるための具体的なアクションを取ることができる

⑤広さ、深さ、頻度(BEF:Breadth、Depth、Frequency)
広さ:顧客の中でプロダクトを利用しているユーザー数、顧客の過去の30日間におけるアクティブユーザー数
深さ:顧客が「定着」の鍵となる機能を使っているか、顧客維持の先行指標となる5〜8つの主要機能の利用状況
頻度:どのくらいの頻度でプロダクトにアクセスしているか、過去30日間の全ユーザーのログイン数

⑥プロダクトのパフォーマンス
・このメトリクスはエンジニアリングに関する指標だが、動作の遅いプロダクトは体験の悪さにつながる

⑦プロダクトの不具合

⑧タスク完了状況
・顧客のタスクの完了を手助けできているか、どこでよくつまづくかを理解し、その障害を取り除くことで離脱率を小さくする

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P64〜70

◼️感情(定性的な)メトリクス

・ユーザーの感情などの定性的な計測も行い、定量値と組み合わせることで、洞察でき解釈できる
・感情に関する一般的な尺度
①リッカート尺度
・最も一般的な5段階(非常にそう思う、そう思う、どちらでもない、そう思わない、まったくそう思わない)の尺度

②NPS (Net Promoter Score)
・顧客がプロダクトを支持する意思があるかどうかを示す尺度
アカウントレベル(企業レベル)で計測することで、どれだけ推薦したいかを大まかに把握できる
・アカウントレベルのNPSをプロダクトの利用状況やアカウントの規模と比較することで、どの顧客のチャーンが高くなりそうか分かり、アクションを起こすことができる
・ユーザーレベルのNPSでターゲットとなるペルソナの感情を把握することができる
ユーザーレベルのNPSを最大限活かすために、アンケートの中にコメント入力できるセクションを必ず設けることで、ユーザーの言葉を聞くことができる

③顧客満足度スコア(CSAT:Customer Satisfaction Score)
・満足に対するリッカート尺度を使用する

④CES: Customer Efforts Score
・顧客の労力とロイヤリティの関係を理解する尺度
ある特定のユーザー体験に焦点を当てたリッカート尺度による調査

⑤SUS: System Usability Score
・プロダクトやウェブサイトのユーザビリティに対して、どれだけ同意するのかをランク付けして回答してもらう方法

⑥PMF (Product Marketing Fit)メトリック
ユーザーに「このプロダクトが使えたくなったらどう感じるか」と聞いて、とても残念、やや残念、まったく残念ではないの3段階で回答してもらう方法

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P70〜76

<#3_多種のモノサシを知るの所感>

今回は、新しい知識を得るというよりは、良く知られている指標を体系的に整理してくれた内容でした。

MRR、NPS、顧客満足度などそれぞれは知っていましたが、こうして

「ビジネスメトリクス」

「(先行指標となる)運用指標」× 「定性的な感情指標」

と整理してくれると理解度が飛躍的に上がった気がします。
WEBサイトなどにも多く出てくる指標だらけですが、これだけ整理してくれている内容は見たことがありません。

辞書のように使っていこう


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