見出し画像

カスタマーサクセスとは#2-2

前回#2-1ではカスタマーサクセスにおける、カスタマーの定義を学びました。
ただ正直に言うと、カスタマーに成功を届けると言うキーワードの具体的イメージがまだ湧いていません。
このケースはカスタマーサクセスなのか?
あのケースはカスタマーサクセスなのか?
と不透明な部分もあるので、読み進めてみます。

参考図書

2-2 リテンションモデルとカスタマーサクセスの表裏一体な関係

リテンションモデルの成功要因

・カスタマーサクセスの「本質(What)」は、リテンションモデルの成功要因そのもの
・カスタマーサクセスはリテンションモデルで成功するために必要不可欠なもの、という表裏一体の関係

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P100~102参照

<所感>
所感と言うか、本書に綺麗にまとまったリテンションモデルの成功要因図を作成しました。
次からはこの図の各要因について説明が進みます。

リテンションモデルの成功要因1

リテンションモデルの成功要因2

成功要因① ライフタイムバリュー(LTV)の最大化
~原則その1 成功を届けられるカスタマーとの末永い関係に責任を持て~

・カスタマーサクセスの目的を理解するためにモノ売り切りとリテンションモデルのそれぞれが提供するバリューの意味とその違いを理解する必要がある
<モノ売り切りモデル>
・プロダクトの販売規模を最大化する事が目的
販売後は、投資費用の回収に必要な数量を最低限の販売目標とし、それを達成した後は売上が利益に直結する構図
そこにカスタマー一人ひとりの顔はない
・お客様視点に基づくと「ワンタイムバリューを最大化する」ことを意味する
<リテンションモデル>
プロダクトはカスタマーに成功を届ける手段の一つ
・究極はプロダクトの価値を越えて「これなしでは生活/仕事ができない」という状態
・カスタマーを虜にし、「このプロダクトの素晴らしさを広めたい」という愛着感情に基づく行動(口コミなど)を引き出すこと
・LTV最大化の3つのポイント
一般的にリテンションモデルは中間モデルを排除した物流や安価なマーケティングを利用するため先行投資が少ない
成功を届けるまでの期間の数年間に渡って収益を受け取る。開始時のマイナスがモノ売り切りモデルより小さいため、リスクが少なく見えるが、実際は投資回収リスクが長期に渡って存在す
買っていただいた後が大切であるため、バリューを受け取る期間が長い。コスト効率は新規顧客から収益を積み上げるよりも格段に良い。またクロス/アップセルで収益増加を加速させることもできる

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P102~106参照

<所感>
本書でも「実務家向けのガイドブックではない。以降の内容は実務レベルの方法論を網羅的に説明するものではない」と断りを入れていますが、冒頭の私の疑問は解けてないです。
ただ教科書的な概念を知っておけば、実務レベルではたと気付く時があると思います。
アウトプットしておくと後で振り返れるのが良いですね!

原則1-1 カスタマーの成功を正しく理解する

・成功とはカスタマーの事業が成長する、あるいは生活が良くなる事に直結する現実の成果
・カスタマーの成功を具体的に深く正しく理解している企業は実は少ない。
・成功を理解していない3つの理由
①成功を理解していなくても新規顧客を獲得できてしまうこと
+LTVの最大化=チャーンレートの最小化という誤解が生じてしまう
+チャーンを最小化できなければLTVは最大化しないが、その逆は真ではない
②成功を曖昧にしたままプロダクトを購入するカスタマーがいること
+「競合が導入したから」「便利そうだから」など好奇心で購入していると、そのカスタマーの成功が見えにくい
+こうしたケースでは、導入が目的となりプロダクトの利用者や利用機能が非常に限定され、結果はプロダクトは使い込まれずチャーンの道を辿る
③成功を議論する事に躊躇を覚えやすいこと
+成功はプロダクトの先にあったり、売り手が完全にコントロール出来ないことが多い
・①②③のように成功を理解できない理由は複数あるが、確実なのことは「成功」がカスタマーにとって最も重要な関心ごと
・なぜならデジタル時代において「成功」に期待してプロダクトにお金を払うから

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P106~108参照

<原則1-1の所感>
「LTVの最大化」⇔「チャーンの最小化」は可逆な関係でない。と言うのは大きな気付きです。
◯:チャーンの最小化→LTVの最大化
✕:LTVの最大化→チャーンの最小化
これはカスタマーのPLをベースに考えて、その結果としプロバイダー側のPLに影響があるということですね。
自分たちの儲けを起点に考えると、カスタマーの成功を見失うということです。
ビジネスからすると綺麗事に聞こえますが、この綺麗事に徹しなければリテンションモデルの時代は勝てないということと理解しました。

原則1-2 成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みをもつ

・成功を届けられない人には売る時間も使わないと決めて組織に徹底させる
・カスタマーの成功を理解する時により重要なのは「どうやっても成功を届けられない相手はどういう人かを明確にし、そこに時間を使わない」と決めること
・これはカスタマーサクセス拡大時やカスタマーサクセス責任者に着任したばかりの場合は難しい決断
・リテンションモデルは、新規顧客の獲得コストが相対的に高く、長期的な関係で収益が上がるモデル
・限りあるリソースは成功を届けられるカスタマーに絞って使うことが、経済合理性から重要
・成功を届けられない相手には売らないことを徹底する3つの仕組み
①売るべき相手と売ってはいけない相手が一目瞭然になる顧客セグメンテーションを開発する
+「カスタマーの成功」軸
+「成功におけるプロダクトの重要性」軸
+「カスタマーの事業規模」軸など
②売ってはいけない相手にNOと言えるトレーニング
③正しいカスタマーに売っているかを評価する指標を決めて、測定する

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P108~111参照

<原則1-2の所感>
『まぁあそりゃそうだよね。けどさ…』って内容でした。
でもこれが重要で、『けどさ』とは言ってられない割り切りが必要ですし、目先の利益はカスタマーを成功に導けない。と強く意識する必要があると思いました。
なんでもやります。は決してお客様目線ではなく、長い関係を見据えて出来ることを伝える事が必要です。

原則1-3 成功を届けるまで責任を持って行動する

・例えば「カスタマーの成功とは?」と同僚に質問してまわり、答えが部門や人によって全く違う場合は<原則1-1 カスタマーの成功を正しく理解する>から行動し直す必要がある
・原則1-1と1-2の具体的な行動を確認できていることを前提に成功を届ける実態が伴っているか確認する3つの確認事項
①成功が届いたか確認している
+プロダクトやソリューションを提供しただけでは成功は届けられない
+導入後にカスタマーと定期的にやり取りし、成功を届けられたか確認するプロセスが必須
+プロダクトがよく使われている、利用者の満足度が高いだけでは、成功を届けたことを意味しない
②チェンジマネジメントをカスタマー任せにしない
+チェンジマネジメントとは、変革に必要な課題や対策を洗い出して行動計画をつくり、その推進を組織的に支援することで変化を成功に導くこと
+チェンジマネジメントをリードするのは売り手の仕事
③他社サービスと乗り入れてデータ共有する仕組みがある
+リテンションモデルの勝者はパートナー企業やエコシステムなどを構築し、便利な他社サービスと乗り入れてデータも共有している
+他社サービスと乗り入れてデータを共有する仕組みがなければ、届ける成功の価値は限定的になる
+競合サービスであってもつなげることでカスタマーに届ける価値を上げる余地がないか継続的に検討する必要がある

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P111~115参照

<原則1-3の所感>
『原則その1 成功を届けられるカスタマーとの末永い関係に責任を持て』の全体に共通するのは、プロダクト通してカスタマーの利益(生活の質)を向上するという視点です。
企業である以上、自社利益を出さないと潰れてしまいます。
なのでどうしてもワンタイムバリューの最大化に目が行きがちになります。
これをグッと耐えて一定期間の赤字も覚悟で資金調達しながらキャッシュフロー経営をする必要があります。
PL経営だとなかなか難しいので、大手企業はリテンションモデルへの対応が遅れてしまうのかもしれないです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?