見出し画像

アコンカグア4日目:C1カナダ

2019年1月24日(木)

標高4,000m以上の自然現象

いよいよBCプラザ・デ・ムーラスを離れるときがきた。

といっても今日は、C1カナダまで荷揚げをして戻ってくる。一人で20kg以上の荷物を背負って登るのは初めてだ。

C1カナダは標高5,000mで、およそ3時間の道のり、下りは1時間30分くらいで行けるだろう。C1で昼ご飯を食べて、ゆっくり順応して日が暮れる前にはBCに帰ってくる、このスケジュールで行くことにする。

誰に教えられたわけでもない、たぶんこうだろうと考えての行動だ。

一度登頂した自分だったらこうするだろう、と今だったらいろんなパターンを想定して行動できるけど、このときはこうするのが正解だったはずだ。

BCを出るとすぐにあるのが、自然現象「ペニテンテ」

ペニテンテ

These spires of snow and ice grow over all glaciated and snow-covered areas in the Dry Andes above 4,000 metres.

日本語のウィキペディアがなかったので英語で。

(日本語訳)この剣山のような氷は、アンデス地方の標高4,000m以上で見ることができる。
(出典:Wikipedia

画像5

(出典:https://news.livedoor.com/article/detail/4202622/

ペニテンテとはスペイン語で、とんがり帽子をかぶった懺悔をする人のことだそうで、復活祭で行進している人たちに姿に似ていると言えば似ている。

画像1

(出典:Wikipedia

アコンカグアに登ると、このような貴重な自然現象を目にすることができる。

雪が積もってできるのではなく、太陽光の反射して溶けるときにこのような形になるみたいですね。4,000m以上の標高でしか見られないとは、なんとも不思議な自然現象だ。

登山道を登っていく

道という道ではないのだが、足跡をたどってひたすら登っていく。雪がないため砂利道や、岩場が続く。前方にはガイド付きで10人くらいで登っている人たちもいた。

上も見上げてもキャンプ地らしき場所を見つけることはできない。それどころかはるか彼方を登っている人も見える。

3時間で行ける距離なので、そんなに遠いはずはないのだが。いまいちC1の場所を把握できずにいた。

何度か道を逸れそうになりながらも、でも着実に前に進んでいく。20kgを担いだままでも3時間くらいならなんとかなりそうだ。

2時間くらい登ったところで、大きく広がった場所があったので休憩を取ることにした。

BCのプラザ・デ・ムーラスがあんなに小さく見える。向こう側の山は真っ白な雪に覆われているけど、アコンカグアはまだ雪が見えてこない。日光の当たり方によるんだろうか。

C1カナダ

1時間ほどさらに歩いて、岩場を登ることが増えてきた。20kgのバックパックを背負いながら片足で踏ん張るのは結構しんどい。もう間もなく標高5,000mくらいだろう。さすがに息が切れてきた。

岩場を抜けると急に開けた場所が見えてきた。そして黄色いテントがいくつか見えてきた。

これがキャンプ1だと確信した。

画像6

BCを出発してから、3時間ちょっとで着くことができた。コースタイムが3時間になっているので上出来だろう。

これからご飯を食べて、この標高に体を慣らしてから、必要ない荷物をデポして下山する。明日はいよいよBCを離れて、C1カナダを拠点にする。

今シーズンのC1は例年とは状況が違っていたのだが、初めて登山をしている僕はそんな状況把握なんてできているわけがない。

これが後々問題となる。

3種のチーズリゾットを食べて、休憩することにする。

画像2

尾西のアルファ米シリーズは、防災セットとかにも入ってるくらいの定番商品なんだけど、正直美味しくない。

アマノフーズのリゾットや、カレー、シチューなどのフリーズドライは抜群に美味い。次回登山をするときは、アマノフーズしか持っていかないだろう。それくらい味に違いがあった。

デポして下山

明日はここC1にテントを張って、寝ることになる。当然、テントはまだBCにあるので、荷揚げはしていない。

C1に持ってきたのは、ダブルブーツ、1週間分の食料、ガス2個、ソフトシェルパンツ、ゴアテックスジャケット、一眼レフカメラ、モバイルバッテリー類など。

テント、マットレス、寝袋のセットが重いので、明日はもっと大変になりそうだ。

-30℃くらいまで対応してる寝袋はどうしても重くなる。

アコンカグアは風の山と呼ばれるくらい強風が吹く。日本から持ってきたボストンバッグに荷物をまとめて、岩を重しにして飛んでいかないように固定しておく。この食料がなくなったら、今回の登山は諦めたほうがいいだろう。(盗まれることはないと思うが...その時はしょうがない。)

BCまでの下りは1時間半くらいで行くことができた。眼下にBCのテントを見ながら下ることができるので、少し気持ちが楽だ。

明日の朝以降は、しばらくベースキャンプに戻ってくることはできない。登頂に向けて、天気を調べておこうと思った。

INKAのテントでは天気予報を教えてもらったり、インターネットを使うことができる。もちろん有料。10分で15USDくらいだったと思う。

そこで見た天気がこれだ。

画像3

水曜日から3~4日、天気が荒れるらしい。すでにC2やC3に順応していて、あとはサミットプッシュをするだけ!という状況なら

BC→C2→C3→サミット、で3日くらいで登れる日程だろう。月曜日は風が弱くて、天気も良く願ってもない登頂日和だ。

だいだい風速が、時速60kmを超えると危険度が上がって、マークが赤くなる。風に向かって歩けないくらいの風速らしい。ニュースなどでよく聞く、秒速に直すと、20m/sくらいらしい。

僕の体はまだC2さえ経験してない。安全な順応期間を考えるとこのハイペースで登頂を目指すのが危ないのは間違いない。

しかし、今後も天候が回復せず、食料も尽き、入山期間の20日間が過ぎてしまったら。

そういう状況に陥ったとき、自分はどういう行動に出るのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?