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椅子をつくるときの難所は。

大学院の授業がない月曜日、午前だけしか授業のない火曜日とか木曜日に、椅子のつづきを進める。まず椅子のパーツを切り出していくために、木材造形工房の機械も本格的に使っていくことに。

まずは4メートルの木材をパーツの長さに合わせて切っていく
この手前の機械で粗い木材を直角に整え表面をなめらかにしていく
最終的には数ミリ単位の厚みも整える

なんか本当に細かいところまでミリ単位で整えていくのは、自分のあまり得意とするところではないけど、木工を専門としてやっていく人にとっては、これが当たり前なんだろう。それが美しさをつくるんでしょうか。あと、これもし機械使えなかったらどうやるかなあ、というのも少し想像してみたりする。

ひとまず椅子の足のパーツがひと通りできたところで、この次の「角度切り」というのが難所であるらしい。今回つくろうとしているカウンターチェアは足が少し外側に斜めに向いている構造なので、そのために足の部分に5度の角度をとって、そこに合わせて斜めに木材を切っていくということ。

こうやって木に鉛筆で線を引いていくときの音が結構好き
この機械の刃は5度だけ傾いているのですよ
ゆっくりハンドルを回して角度を調整

僕の場合は気づいたら角度が2度ずれていてやり直しになったり、ちょっと気が抜けて本来切るべき方向と反対になっていて混乱したり。じっくりと細かい目盛りを見ながら、それと同時に椅子全体の構造を想像して、それぞれのパーツの向きや接合部分を捉えていく感覚や経験値が必要なんだろう。

そうこうしていたら、あっという間に2時間、3時間。あっという間に1日が終わってしまう。そして、めちゃくちゃ疲れている。これは高校で授業をしていたとき、夏に田んぼ仕事をしていたとき、朝方にめっちゃ集中してプレゼン資料をつくったとき、そのどれとも似ているようだけど、そのどれとも違う疲れ方のような気がする。まあでも、とりあえずビールが飲みたいのは一緒か。

もう毎日、あらゆる椅子の構造、素材、曲線が見たくなくても目に入ってきて、もう椅子だけでなくて、あらゆる構造物が見たくなくても目に入ってくる。いわゆるゲシュタルト崩壊でもないのだけど、なんだか新鮮で楽しいようで、なんだか落ち着きのない時間が流れる。

この椅子の曲線なんて、どうやってるんだろうかとか。そんなことを考えてばかり。でも、とりあえずこメモはしておきたくて、記録はしておきたくて、こうやって書いている。

東京国立博物館の休憩スペースにあった椅子

この椅子をつくる時間が楽しくて仕方ない!夢中なんです!っていう瑞々しい感じでもないけど、ちょっとずつ形が見えてくるのが嬉しくて、だからやらずにはいられない感じはある。32歳で満を持して大学院に、そしてアートの世界に踏み出すんだぜ、と思ったら、木工おじさんの備忘録みたいになってしまった。

まあもうちょっと、やるか。


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