落ち込んだ時にすべき、たった一つのこと
少し前に、こんな話をした。
実際、今の世の中、落ち込むことがあまりに多い。
考えるべきことは山積みだ。
やるべきこともまた山積みだ。
仕事も学校もプライベートもトラブルだらけ、目の前のことをこなすので精一杯。
帰ってきても家のことを片付ける余裕などありはしない。
シャワーを浴びて、着替えて、ベッドに倒れ込むのがやっと。
職場でのこと、友達や恋人との関係のこと、将来についてのこと、あらゆることがストレスで考えれば考えるほどいやになってしまう。
そんな経験がないだろうか。
そんな風に落ち込んでいる時。
どうにもならなくて「もうダメなんだ」となった時にすべきことは何だろう?
「そりゃあ休むことだよ」
そう思うかもしれない。
ああそうだ。
その通りだ。
落ち込んでいる時は休めばいい。わかりきった話だ。
だが、実際はそう単純ではない。
人は、そんな時ほど焦ってしまうからだ。
想像してみて欲しい。
疲れ、落ち込み、へろへろのあなたは、それでも頑張って職場に向かう。
駅に駆けつけ、電車に滑り込み、一息ついてスマホを開く。
そこには、あなたに比べて、はるかにキラキラした人たちがいる。
若くして大人気のyoutuberがいる。
昔からの知り合いがフォロワーを増やし、ファンに囲まれている。
「沖縄にいます!」とかわいいアイドルが自撮りをあげている。
一方のあなたはどうか。
窓にうつる自分は、目が落ちくぼみ、頬がこけている。
目の下にはくっきりと濃いクマ模様。
今日も一日忙しいだけなんだろうな、という思いが頭をよぎる。
そんな時、焦りを感じないだろうか。
自分だけ置いていかれたようで不安にならないだろうか。
なにがなんでも結果を出さなければ、と思ってしまわないだろうか。
——今は結果を出せ、結果を出せという時代だ。
「すごい人」たちは口を揃えて「行動しろ」「悩む暇があれば動け」「やることをやれ」と言ってくる。
「死ぬこと以外かすり傷」というフレーズがあるが、あれなどまさに典型。
ビッグマウスで行動して成功するのが正義、そんな風潮だ。
だが、本当にそうなのだろうか。
落ち込み、疲れきったあなたに必要なのは、歯を食いしばって前を向き、頑張ることなのだろうか。
否だ。
明確に否だ。
あなたに必要なのはインフルエンサーの威勢の良い言葉でも、煽ってくる自己啓発書でも、「死ぬこと以外かすり傷」とお題目を唱えて行動し続けることでもない。
休息だ。
シンプルに休むことなのだ。
例えばの話だ。
あなたが交通事故にあったとしよう。
腰の骨を折ってしまい、寝返りをうつのも一苦労。
手術は二週間後、術後良くなると言われてはいるが、それまではベッドの上で過ごすしかない。
そんなとき、あなたがすべきは何か?
「かすり傷だ」とうそぶいて走り回ることか?
「行動がすべてだ」とあちこちに顔を出すことか?
違う。
よく寝て、よく食べることだ。
時間をかけてリハビリをすることだ。
体と心を休め、健康を取り戻すことだ。
焦りはあるだろう。
あれもしたい、これもしたいと気が急くだろう。
それでも、選択肢は「ゆっくり休み、回復する」以外にないのだ。
落ち込み、何もかもがいやな時だって同じこと。
体ではなく、心が病みかけているようなものだ。
ならすべきは、焦りにかられて頑張ることではなく、息をついて休息することだろう。
つまり、あなたがすべきことは単純だ。
無理して頑張らなくてもいい。
「みんな」のキラキラした姿に焦らなくていい。
暖かいものを飲もう。
栄養のあるものを食べよう。
部屋を暖かくして、布団にくるまってぐっすりと寝よう。
落ち込む時は、つらい時は休むのだ。
意地を張らず、必死にならず、休息をとるのだ。
それが結局は明日へと繋がる。
どうか、休むことに罪悪感をもたないで欲しいと、それだけは伝えておきたい。
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