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『言葉ダイエット』が必読の文章術本だった話

文章術、というジャンルの本は数多い。
大型書店に行けば何十冊と並んでいるし、amazonで検索すると1000件以上出てくるほどだ。需要が大きい分野と言える。

無理もない。伝わる文章を書くのは難しい。大学生ならレポートや論文、就活生ならエントリーシート、社会人なら企画書やプレゼン。四苦八苦した人は多いはずだ。私も学生の頃、教授に「話にならないね」と笑顔でレポートを突き返された思い出がある。

『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』は、そんなトラウマのあるあなたにお勧めできる一冊だ。

タイトルだけ見るとありがちなビジネス書かと思うかもしれない。
実際には、実践派の文章術本と言っていい。

本書の構成は具体的だ。
第1章からして「なぜあなたのメールや企画書、エントリーシートは読みにくいのか?」と切り込んでくる。「難しい文章は、ほぼ、ヘタクソな文章だ」「必要なのは才能ではなくスキル」と言い切る姿勢は頼もしい。
第2章以降は「ダイエット」の実践だ。「ひとつの文にはひとつの内容」「ムダな敬語の禁止」など、文章をわかりやすくするための方法が並んでいる。例えば「抽象論・修飾語の禁止」を守るだけで、読みやすさは大幅にアップするだろう。

「ダイエット」の例を実際に見てみよう。

「先日ご提案させていただいた企画について、正式にお戻しの方をさせていただきたいと思います。その後、企画を社長に上げたところ、方向性は概ね問題ないものの、企画内容について改めてご検討・ご相談させていただきたいと考えております」

過剰な丁寧語とまわりくどい表現だらけの、いかにもありそうなメールだ。
著者はこれを

「誠に申し訳ありません。先日OKを出した企画に、社長からNGが出てしまいました」

にまで圧縮してみせる。
前後でどちらが伝わりやすいかは明白だろう。なぜこのようにダイエットしたか明確に説明しているので応用もしやすい。
他にも実例が多数収録されている。得るものは多いはずだ。

白眉は第4章「読みたくなる文章の書き方」だろう。
私の知る限り、読みやすさと面白さの双方に目配りした本は多くない。
だが本書は例外だ。読者の興味をそそり、感情を刺激する方法を解説している。方法論も「主観的発見と客観的発見」「文章を具体的にする」「三幕構成」と具体的かつ実践的だ。特にtwitterやnoteなど、ソーシャルメディアで文章を書いている人なら必読だろう。

ビジネスパーソン向けとなっているが、学生のレポートからnoteの記事まで応用可能な一冊。実際私も、本書を読み終えてから自分や他人の文章を見る目が変わったのを感じている。

買って損はない。お勧め。

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