【お風呂小噺】温泉を見つけた人たち
■開湯1300年の怪
秋風も吹き、国葬への声も吹き荒れる中、
来月からは「全国旅行割」が始まりますね。
それに伴い、全国各地の温泉に出かける方も多いと思いますが、
こんなフレーズを見かける方も多くいると思います。
「開湯1300年の歴史!!」
これを見て、とても長い歴史を持った温泉地なんだ!と一般の人の興味を引く、いいキャッチコピーだと思います。
ただ、1300年前に「ここ掘れワンワン」をしたかというとそういうわけではなく、もちろんいきなりここに温泉が湧いたわけでもありません。
温泉自体は紀元前からあったと思われますが、
おそらく現在においては、1300年より多い年数を書いているところはないはずです。
というのも、記載するにあたってはその理由や根拠を示さなければいけないため、
日本で最も古い書物である「古事記」が712年編纂開始であり、
これより古い書物が見つかっていないためです。
その中でも最も古い温泉と言われている道後温泉は、
古事記と同時期に編纂された伊予国風土記の逸文に書かれていることから日本最古と言われています。
風土記の中に開湯伝説があり、各書物の信ぴょう性に疑いもあるため、
書物が編纂された年代を基に開湯とするのが、
他の温泉地でも開湯計測をしたタイミングと言えます。
■温泉を見つけた神や人々
・大国主命と少彦名命の神コンビ
医療の神 大国主命と薬の神 少彦名命による道後温泉や有馬温泉の日本三古泉など全国各地で発見した神コンビです。
神話上は国作りの神として全国を渡り歩いており、その際に各地で温泉を見つけたのでしょう。
<発見した温泉地>
道後温泉(愛媛)、有馬温泉(兵庫)、玉造温泉(島根)など
・最も発見数の多い弘法大師(空海)
真言宗を開き、遣唐使で有名な弘法大師(空海)。
治水事業でも有名だった弘法大師が全国に足を運んでおり、仏教の普及とともに温泉も重要だったのでしょう。
発見した土地も東に多くあり、地方に恩返ししたように思えます。
<発見した温泉地>
大塩温泉(福島)、修善寺温泉(静岡県)、川場温泉(群馬)、
伊豆山温泉(静岡)、法師温泉(群馬)、赤引温泉(愛知)、
湯村温泉(山梨)、龍神温泉(和歌山)、鹿塩温泉(長野)、
湯免温泉(山口)、海の口温泉(長野)、東道後温泉(愛媛)、
出湯温泉(新潟)、杖立温泉(熊本)、瀬戸口温泉(新潟)、
熊の川温泉(佐賀)、清津峡温泉(新潟)、波佐見温泉(長崎)、
燕温泉(新潟)、関温泉(新潟)など
・名湯の発見数の多い行基
弘法大師より少し早い時代の高僧である行基。
数としては、2番手になるが現代にも残る名湯を数多く発見している印象の強い発見者。
仏教の行為として施浴も行っていたようです。
<発見した温泉地>
鷹の湯温泉(秋田)、山代・山中温泉(石川)、作並温泉(宮城)、
東山温泉(福島)、吉奈温泉(静岡)、芦ノ牧温泉(福島)、
谷津温泉(静岡)、草津温泉(群馬)、蓮台寺温泉(静岡)、
野沢温泉(長野)、三谷温泉(愛知)、渋温泉(長野)、木津温泉(京都)
湯田中温泉(長野)、関金温泉(鳥取)、鹿教湯温泉(長野)など
この他にも山伏である役小角(えんのおづの)や将軍 坂上田村麻呂などによるものも多くあります。
ただし、これらの多くは本当に本人たちが見つけたともいえず、
名前を借りただけの場合も多くあり、年代と揃って真偽不明です。
また、日本最古の点においては、書物内の年号や逸話の信ぴょう性から
道後温泉の可能性もありますが、
熊野神社の湯ごりで使用されていた湯の峰温泉の可能性もあるといえます。
日本最古であり、世界最古の温泉旅館については、
山梨にあるため、こちらはまた山梨の本気part2などで記事書ければと思います。
今回の記事はちょっとした豆知識として覚えていただければ。
○○温泉地を発見したのは誰でしょうみたいなクイズ脳で考えてみるのもいいかもしれませんね。
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