ポリネシアの人々の価値観 ②Family
家族というのはハワイ語でオハナ('Ohana)と言うが、一般的な日本の家族のような形よりも、もっと大きな規模のものを指す。血族を家族と呼ぶのはもちろんだが、言ってみれば地域に住む人たちすべてが家族という感じだ。
それは古代ハワイのアフプアアに由来する。同じアフプアアに住むものはすべて家族なのである。
同じアフプアアに住むもの、その構成員を通して歴史・家系・活動・価値観が維持され、教えられ、共有されてきた。家族のクプナ(長老)は人生のあらゆる面でもっとも経験豊富なので、師として機能していた側面がある。
クプナは世代から世代へと、大事に受け継がれる智恵の宝庫的存在だった。
文字を持たなかった古代ハワイの人々にとって、フラの役割は大きかった。フラの機能のひとつとして、家族全体の過去・現在・未来を統一するという目標があった。フラは口承の歴史と伝統を思い出すための重要なツールであり、これが年齢差を越えて教師と生徒の間に自然と絆を生み出してきたのである。
教えるものを持つ者と、学び維持したいと願う者を、フラは結び付け、家族の価値観と歴史は “秘められたメッセージ” として語り継がれてきたという経緯がある。フラの仲間たちをオハナと呼ぶのはこのためである。
ちなみに、フラの教室をハラウと呼ぶが、ハラウというのはカヌーをしまっておくための小屋のことである。カヌーが出向していてがらんとしたカヌー小屋でフラを教えていたことに由来している。
いずれにしてもハワイ、ポリネシアの価値観として家族=オハナというのはとても大きな役割を担い、かつ仲間同士が助け合い調和しながら、自分たちの歴史や伝統などの大切なものを、過去・現在・未来を継承しようという絆によって結ばれていたのである。
古代ハワイの問題解決法のホオポノポノも、元々はこうした家族の絆を守っていくためにできた人間関係を円滑に保つためのハワイの秘法ということなのである。