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ハワイの代表的な神様。

太平洋にぽつんと浮かぶ小島のハワイ。古代から自然を敬い、そこに神を見出し、自然と共存することで命を繋いできたという歴史がある。
それは日本の『八百万の神』の神々を信仰していた昔の日本ととてもよく似ている。
似ているのはそればかりではない。ハワイにも日本の古事記のような創世神話がある。それはハワイ語で「起源」を意味する『クムリポ』と呼ばれる。
もともとハワイの王家に口承で代々伝えられたものだが、ハワイ王朝7代目のカラーカウア王によって広く世に知らしめられた。
その内容は宇宙の始まりから綴られ、最初に生物としてこの世に誕生したのは珊瑚とポリプ(触手を広げる生物)、その後ウニやヒトデなどの海洋生物、そして植物と進化を遂げていく。
そしてその後に島々を創り、自然と司る神々が登場していくのだ。ハワイで祈りの対象であり、神話で語られる代表的な神々を紹介する。

まずハワイでは4人の偉大な神様が(いきなり)存在する。カーネ、カナロア、クー、ロノの四大神と呼ばれる神々だ。
カーネは万物の根源となる神、カナロアは海の神で化身はタコ。カーネとカナロアはとても仲がよく、ハワイ神話ではよくコンビで登場する。
クーは闘いの神、ロノは豊穣と平和の神。クーとロノはいわば男性性的なものと女性性的なものと言ってもいいかも知れない。

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四大神以外の神々にはその神話の中で人との交わりを持つ神もいる。
人との交わりを持つ中で子供ができることもあり、神と人との間の存在を「半神」と呼ぶ。
代表的なのは半神マーウイ。月の女神でタパ作りの達人のヒナの息子だ。
太陽を捕まえたり、島を吊り上げたり、マウイ島からカヌーに飛び乗って3回パドリングするだけでハワイ島にたどり着いてしまう型破りでいたずら好きなトリックスターだ。半分神様なので人知を超えるパワーを持っているが、同時に半分人間なので不死の存在ではない。
ディズニー映画の『モアナと伝説の海』にも登場しているので比較的有名なハワイの神様だろう。

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ハワイの伝説には神々の物語だけでなく、こうした人と神の交流や半神の超能力的なパワーを発揮した物語が多数存在する。
ハワイアンがタロイモをとても大切に扱うのも、単にタロイモが日本人にとってのお米のように貴重な主食だったからというだけではなく、タロイモは人間の祖先であるという伝説に基づく精神的な影響が強いのかも知れない。

ワーケアとパパ
ワーケアは天の神。妻のパパは大地の女神。
ワケアとの間に最初に産まれた子「ハロア」残念ながら死産だったため、大地に埋葬した。するとそこからタロイモの芽が出て、それが次の子となり、人間の祖先となったのだ。

ハウメア
豊饒の女神。安産の女神。夫はカーネ・ミロハイ。
数多くの子供を持ち、ペレ、カポ、ラカ、ヒイアカなど、神話や伝説に登場する主要人物の多くは彼女が産んだ子供たちである。

ペレ
火の女神。夫はカマプアア。
嫉妬心が強く、すぐに怒り出し、傲慢かつわがままな性格に描かれることが多いが、実はとても愛情深く、人間味あふれる優しい一面も持ち合わせている。その魂はキラウエア火山のハレマウマウ・クレーターに宿っている。

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カポ
豊饒の女神。カーネ・ミロハイとハウメアの間の娘であり、ラカの母。カーモホアリイやペレと兄弟。フラの女神はラカといわれているのが一般的ですが、中にはカポだというハラウ(フラの教室)もある。
カポは火の女神ペレと同じようにタヒチから渡ってきた。タヒチからニイハウ島に到着し、そこからカウアイ島、オアフ島を経由してモロカイ島へ渡り、カポはこの島で人々に請われてフラを伝授したと言われている。
妹のケウェラニをクム・フラとして、ラエア、ウルヌイ、ラカという3人の男性にフラを伝えたという伝説が残されている。そのためモロカイ島がフラ発祥地と言う人もいる。
カポの性格は厳しく残酷な面と優しい守護神的な面をあわせ持ち、残酷な面の彼女はカライパホアという毒薬の神の妹だったとも伝えられている。

ラカ
豊饒の女神。ペレの妹。音楽や踊り、雨を司っている。
多くのハラウでは、フラの女神はラカとされている。フラの女神であると同時に、ラカがいるだけで生命力があふれる、病が回復するなど、ポジティブエナジーの象徴でもあるようだ。
しかしラカの出生についてはいまだに謎に包まれている。四大神のひとり、ロノの妹、あるいは妻というメレ(詠唱)があるのですが、フラ以外ではそのような説は存在しない。
また一説によると、善悪両面を持つ女神カポの善の面がラカされていたのではないかとも伝えられている。

ヒイアカ
フラの女神。幼なじみの男性ポーポエからフラを教わったフラの達人。ハウメアが産んだ兄弟姉妹の末っ子。ハワイ島に咲くオヒア・レフアの花を愛する心優しくも、勇敢な女性。姉のペレの命令でカウアイ島のロヒアウを迎えに行った話は有名。
正式な名前は「ヒイアカ・イ・カ・ポリオ・ペレ」(ペレの胸に抱かれたヒイアカ)と言う。実はヒイアカは名前の通りペレに抱かれて卵から生まれている。

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カマプアア
男性神で、火の女神ペレの夫。農耕の神ロノのキノラウ(化身)。
普段は美男子ですが、怒ると8つの目を持つ豚へと変身する。
ペレとよく夫婦喧嘩を起こし、敗色濃厚になると「フムフムヌクヌクアプアア」(ハワイ州の州魚)というブーブーと鳴く魚に変身して海へ逃げる。

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他にもたくさんの神々がハワイには存在する。
自然に畏怖を感じ、自然を敬いながら共存してきたハワイアンの心が、神話や伝説という形で、自然を擬人化しながら代々伝えられてきた。
イギリスの有名な歴史学者アーノルド・トインビーは言う。
「12、13歳くらいまでに自国の神話を学ばなかった民族は例外なく滅びる」
神話というものは民族の存続をも脅かす力を持った代々継承されるべき大切なものなのだ。
今回、ハワイの神々を少しだけ紹介したが、調べてみるほどハワイの神々はかなりやんちゃというか、「それってどうなのよ!?」という支離滅裂な話がたくさん出てくる。興味ある方はぜひハワイの神話を調べてみるとおもしろいと思う。

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