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スターナビゲーション ー 星と対話し自然と繋がるスピリチュアルな航海術。

最初にハワイに人が上陸したのは、西暦400年~600年頃だと言われている。
移民者はマルケサス諸島からの人たちだというのが定説になっている。

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彼らは極めてすぐれた航海術を持つ海洋民族で星を観察しながらはるばるハワイまで大型のカヌーで航海してきたと言われている。

北半球で北の目印となるのが北極星。
南半球で南の目印となるのが南十字星。
南十字星の縦軸を下に4倍伸ばすと天の南極となるが、北半球の北極星のように動かない星はないので、あくまでそのあたりということでしかない。
彼らは北半球の北極星、南半球の南十字星の役割を理解していた。
星の位置を観察すると同時に、潮流、雲の流れ、月などの自然現象から、今太平洋上のどこにいるかということを極めて正確に捉えていたのだ。

今でも航海術を学ぶ聖地というものがいくつか残されている。
ハワイ島北部のマカ・オ・フレ(下写真)はいくつかの直立した石が立ち並び、海が見渡せる高台に位置している。星と立石の位置関係から、ポリネシア列島の遠く離れた島々を見渡すための展望台になっているのだ。

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オアフ島の西にも、クーイリオロア・ヘイアウ(下写真)と呼ばれるヘイアウがある。ここも航海術を学ぶための訓練所として使用されていた歴史があると伝えられている。

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天の星々を観察しながら、遠く見えないタヒチやポリネシアの島々に向けてカヌーを漕いでいた先人の深い知恵と、自然と一体となることで守護してくれる存在と繋がるスピリチュアルな感覚が養われていたのだろう。

さらに渡り鳥も彼らの航海に大きく貢献している。
秋になるとマルケサス諸島には渡り鳥が飛来する。その様子を見ると渡り鳥の来島には個体によって時間差があり、かなり長時間飛行したような疲れが見られる。また見たことのない種子が付着しているなど、渡り鳥が未知の島があることを示唆していたようである。

とはいえ、どの方角にそんな島があるのか、正確な場所まではわからない。
いったいなぜ危険を冒してまで彼らは島を出たのだろうか?
戦いに敗れて新天地を求めて?
人口の増加で食糧難になったため?
病気が蔓延したため?
もしかしたら卓越した航海術を持つ海洋民族の血が騒ぎ、好奇心に駆られてかも知れない。
それはいまだに推測の域を出ていない。
証明されているのは、確かに彼らは海を渡ってハワイにたどり着いたということだ。極めて正確に自然の動きを把握していたということ。
自然とともに生き、直観に従って生きていた彼らは真のスピリチュアルな人間であり、凄い卓越した能力を持った人間たちだったわけである。

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この航海術はハワイでは1970年代まで忘れ去られていた。
ハワイアン・ルネッサンスの気運が高まる中で「ホクレア号」と呼ばれるカヌーが造られた。1976年、ナイノア・トンプソンをキャプテンとして、古代ポリネシア人たちがカヌーに乗って島々を渡りハワイにたどり着いたということを科学的に立証する目的のため、スターナビゲーションという伝統的航海術でタヒチまで航海に出て、それは見事に成功した。
古代から海洋民族のポリネシア人たちは今の私たちが到底及ばないスピリチュアルな感覚を持ち、自然と対話できた優秀な人たちだったのである。

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