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娘さんの誕生日の夕ごはん︰とうもろこしのムース

5月26日は娘さんの誕生日。そしてわたしがお母さんになった日でもある。朝起きてきた娘さんを抱き締めて「お誕生日おめでとう。わたしのところに来てくれてありがとう。よく今日まで頑張って生きたね」とお祝いを伝えた。

お誕生日!年に一度、その人だけの記念日。どんな食卓をつくろうか考えるのも楽しい。

メニューはなんとなく決めていた。娘さんが好きなものは納豆や厚揚げなどの大豆製品と魚で、それでもいいのだが、誕生日なのでスペシャル感があるメニューにしたいではないですか。なので、以前つくって割とよく食べてくれたチキンピカタをメインに、おうち洋食にするつもり。広瀬さんの誕生日でつくったときのもち米と小豆が残っているのでお赤飯も炊こう。いつつくっても夢中で食べてくれるフライド人参も、そろそろ終わりの春人参でつくろう。それと、とうもろこしでムースをつくろう。

とうもろこしのムースは、旬のとうもろこしでつくれば大抵美味しくできるのだけど、割に繊維質で、潰す・漉すところが山場だ。とうもろこしは皮にくるまったままヒゲだけ切り落として、レンジに4分くらいかける。冷ましている間に玉ねぎをうす切りして、バターで炒め始める。蓋をして、ゆっくり炒めている間にとうもろこしを半分に切ってから包丁で粒を外していく。フライパンへ入れ、ザッと全体を混ぜたら水を入れて蒸し煮。このとき芯も一緒に入れることにしている。芯からもだしが出るのだそうです。しばらくしてもう少し水を足す。柔らかくなるよう。そして塩こしょうをほんのひとふり。とうもろこしが甘いので砂糖はいらない。フライド人参用の人参の下ごしらえを進めながら、とうもろこしの香りがそこらじゅうに拡がっているのを感じる。

夏だなぁと思う。とうもろこしの匂いって夏の記憶を有無を言わさず、という感じで蘇らせてきませんか。夏休み感というのか。水気がなくなってぼってりとしたとうもろこしと玉ねぎを、ミキサーにうつす。水分が足りないので牛乳を入れて何度も撹拌。もういいかと思ったところから更に一息ふた息、念入りに撹拌して、ザルで漉していく。こういうムースやポタージュを漉すとき、ザルに入れたら大抵自重でポタポタ落ちていくでしょう?それがほとんどないのがとうもろこしなんだよね。ゴムベラで練るように力を加えて漉していくと、カスカスの繊維があとに残る。ここまでできれば、あとはパプリカのムースと同じ。牛乳を足し、ゼラチンで固めれば出来上がり。レシピはパプリカのムースと同じような感じです。

苦労した割に見た目は地味(おうちプリンみたいな…いや、生クリームをかけるとか、チャービルやパセリを飾るとか、色々やりようがあるのですが…)だが、とうもろこしの甘みや風味が優しくできた。娘さんも(プレゼントの興奮冷めやらぬ中で)積極的に食べてくれた。あんなに手間かけて漉したのに、まだ舌触りがザラっとしてたことが残念。次は2回漉すか…もっと細かいザルの方がいいのかも…など考える。リベンジという意味だけでなく、美味しいから今夏、何度かつくろうと思う。

これからの1年も、元気に楽しく過ごしてねと祈る。怖いことや悲しいこともあるだろうけど、全部があなたの人生をつくる大切な一粒。一日一日は宝箱のようなものだ。母ちゃんは、その中にたくさんの「美味しい」を閉じ込められるようにしたいよ。誕生日おめでとう。

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