条件設定(結婚・恋愛編)

定点で見なかった妻

妻とつき合い始めた頃、何人かの友人知人に会ってもらった。見せびらかしたかったのではなく、これまで2度離婚していることもあり、人を見る目に自信がなかったのである。
ありがたいことに、好意的な意見に占められ、3度めの結婚に結びついた。が、決して友人知人の見る目だけに頼っていたわけではなく、私自身も妻の人となりを見てきたつもりである。
今でも不思議に思うのだが、妻は当時の私の状況を全く憂いていなかった。バツ2であること、子供がいること(養育費負担があること)、前妻の負債を肩代わりしていること、その他ネガティブな要因を挙げればキリがなかったと思う。そして妻の家族や友人も同様であった。妻がいいというのならと、私たちの結婚を祝福してくれた。私の置かれている環境には全くといっていいほど触れることはなかった。それだけ彼女は信用されていたのだろう。

転職先を決めてもらう

同棲を始めたころ、妻から「可能性はある人だと思うので、特に今の状況は気にならない。」と聞いた。非常にうれしかったが、戸惑う気持ちもあった。
何の根拠も持たず、ただ可能性を信じることができるものだろうか?期待という名のプレッシャーをかけているだけではないだろうか?

しかし状況は大きく変化した。半年後、私の元に転職のオファーが4社きた。私なりにこの会社にしようと考えて妻に相談したところ、「こっちの方がよい。」と逆提案を受けた。妻が全く知り得ぬ業界である。密かに企業研究をしていたのかもしれないが、私は妻の意見を聞き転職に踏み切った。ちなみに私が当時行こうとしていた会社は、その後不祥事に巻き込まれることになる。(因みに現職も最終的には妻の後押しで決めた。)妻の先見性というのか、中長期の視野に立った物の見方には恐れ入る。

理想に近づいた生活

同棲時代から生活していたところに私自身は特に不満はなかった。しかし妻は大いに不満があったらしい。中でも近隣に緑がなく、空の色がきれいでないのが大きな要因であった。暇をみては物件探しをしていた。実際にこれという物件を何件か見て回ったこともあるが、予算やアクセス、周囲の環境等
で現状の物件と大きく改善するわけでもなく、引っ越しに至ることはなかった。私自身、2回の離婚や転職に伴い、引っ越し回数を重ねており、これ以上の引っ越しを面倒に思うところもあった。
妻もそれを分かっていたのだろう。引っ越しのことは口にしなくなった。入籍して2年め、秋から冬に季節が移る頃、妻が物件を見つけてきた。あまり気のりはしなかったが、実際に不動産屋を訪ねてみると、非常に条件のよい物件を紹介された。あれよあれよという間に契約、年末年始は引っ越し作業で終わった。
少し最寄駅から距離はあるものの、緑が多く、空が広く、愛犬の居心地もよさげである。私もQOLが上がったし、何より妻が住み心地のよさを実感している様が手に取るようにわかるのが嬉しい。

定点の条件は無意味

外見、年齢、年収、学歴、職歴等々、各種条件に拘りがあるのは分からなくもない。しかしそれらは全て定点の条件である。当然、時間経過と共に上下が生じる。どこまで上振れする可能性があるのかを見極めること、信じることが条件設定の前提で持っておくべきと思う。

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