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ショートストーリー《もしたむっ!》Osamu.5:ほさむと後輩の秘め事

 この日、「ほさむ」は修に「デスクの下に置いておいてくれ」と『あるもの』を持たされ会社へ。
 まだ誰も来ていない職場。自分のデスクに着き、『あるもの』を足元にボンっと放り投げたのと同時に、「はよざいあーす!」と元気な男の声が職場に響いた。
「おはよう」
 ほさむはその声の主・同僚の裕司にあいさつする。裕司は、サッカーボールの入ったネットをブラブラ振り回しながら職場に入ってくる。
「修さん、早いっすねー!」
「まあな」
「てか、さっき机の下に投げたのって何すか?」
「なんだ、お前見てたのか」
「俺はなんでも見てますよ!」
「そうか。なら見せてやる」
 そう言うと、ほさむは机の下からそれを取り出した。
「おっ! 柔道着じゃないですか!」
 ほさむが取り出したのは、白帯の柔道着だった。
「柔道もやってみたいと思ってな」
 ほさむがそう言うと、「カッケーっすね!」と裕司は言った。
「おはようございまーす」
 そこへ、恵理子が出社してくる。
「あっ椿田! ちょうどいいや。ちょっと写真撮ってくれよ!」
「えっ!?」
 突然のことでわけのわからない恵理子に、自分のデジカメを持たせる裕司。サッカーボールを取り出し、ほさむと肩を組む。それにつられるかのように、ほさむも柔道着を肩にかけ裕司と肩を組む。
「じゃあ、いきますよー!」
 笑顔を見せるほさむと裕司。そしてシャッターを切る恵理子。
「ちょっと確認して」
 恵理子が裕司にデジカメを渡す。
「おっ。いい感じじゃん! サンキュー、椿田!」
「ふふっ。なんか仲良しふたりみたいでいいね」
 笑顔を見せて、恵理子は自分のデスクへ向かった。
「どうすか修さん!」
 裕司はデジカメの写真をほさむに見せる。
「お、おお……いいんじゃねえか」
 ほさむはどこかドギマギしたぎこちない笑顔で対応した。

 休憩時間。ほさむが給湯室でコーヒーを入れていると、裕司がやってきた。
「修さんお疲れーっす」
「おお、お疲れ」
 裕司は自分のマグカップを出し、コーヒーを入れ始める。
「いやー、今朝の写真サイコーでしたわ。椿田の言ってた通り、仲良しふたりみたいで面白くって──」
 ほさむは、心の中で思っていた。
「俺と、仲良しの先に行くつもりはないか……?」
 そう言いかけて、ほさむは口をつぐむのだった。

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