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おばあさんの赤いバケツ


その老女は桜吹雪の中、

腰を丸めながら

散り花を拾い集めていました。

その花どうされるのですか?

と、お尋ねしますと

「車にひかれては可哀想でしょ。

連れ帰り愛でます。終焉まで。」

覗き込んだ真赤なバケツには

鮮やかに浮かぶピンクの桜花房。

この世に必要な全てが

バケツの中にありました。

年を積み重ねることは

欲や物が積み重なること。

それでも

彼女のように

不要なものは持たず

自分にとって

必要なものを愛したい。

身軽に、身ぎれいにと。

心軽く、心清らかにと。

今年も自身を振り返り

この写真を掲載します。


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