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CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN - tradition

作曲/映像、ベース、サウンドエンジニア/DJの3人によるユニットという編成が非常にコンテンポラリーな一方で奏でるサウンドはトラッドなエリアまで拡張した幅広いサウンドを取り込んでいるバンド。どこか楽園志向なサウンドが非常に心地よい。メンバーの分担の雰囲気からある種のメタ視点を持ち合わせた創作に向き合っている人たちなのかなと感じた。

冒頭の秩父は、エレクトロとプリミティブなパーカッションが織りなすサウンドがとても面白い。タイトルの印象もあるがここで使われているサンプリングやリズムアプローチにはどこかフィールドワーク的な雰囲気を感じる。

キューバという曲もメンバーが中南米音楽に傾倒した時期があったという解説があったがそういったルーツがどこかにあるのかもしれない。一方で揺らぎを含むパッド系のコードサウンドとブレイクビーツに詩学的な歌詞で浮遊感が続く非常に美しい音と言葉の積み上げが素晴らしい。

空とぶ東京は、1970年代以降脈々と受け継がれている日本のある種の史観の流れを汲んだ楽曲だ。続くアートマンはリズムのプリミティブさに対して淡白な電子音と朴訥な歌メロディーというアプローチの積み上げかたがとても面白い。意外にもアッパーなルーツ寄りのタイトル曲、続くMoon Danceはシンプルなメロディーとコード、支えるリズムボックスも含めて彼らのポップな魅力が分かりやすく凝縮されている。この2曲の流れはとても印象的だ。

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