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Better Corners - Continuous Miracles, Vol​.​2

いわゆる「ポストエブリシング(Post Everything)」と言われるようなタイプのアプローチの非常に美しいアルバムだ。ドリーム・ポップ、アナログ・アンビエント、テープ、アヴァンパーカッション、モジュラーエレクトロニクス、ノイズといったあらゆる要素をおそらくメンバーが各々持ち寄って合成しているがとても自然に折り重なったラジカル且つ美しいアルバムだと思う。TomagaやUUUUのメンバーが集まっているようなのでコラボレーション作なのかもしれないが、2023年の本作は同名義のセカンドアルバムになる。

Cremated Petsは、ミニマルなコードアプローチにプリミティブパーカッションとポエトリーリーディングで、どことなくブリジットフォンテーヌやベルベットアンダーグラウンドの初期作品を連想する。2023年はエコーの使い方がうまいアルバムが多かった印象だがこのトラックもそういったエコーアプローチが際立つ曲だ。

続くCareer Testはノイズに包まれたアヴァンロックやフリージャズ的な要素と不穏なテープの揺らぎ、ボーカルが織りなす非常に前衛的な楽曲だ。16分に及ぶ本作は徐々にノイズの芯が強くなり圧倒的な中盤を経て再び静謐に戻っていく。その際に残された断片的なサンプル音やギターとドローンの組み合わせがとても美しい。

タイトル曲Continuous Miraclesは、静かなピアノの打鍵と音響から始まる。中盤は徐々にアンビエンスを強めていき、ボーカルのメロディーがかすかに聞こえるようになる。かろうじてポップフィールドの和声感を保ちながら、一方でアンビエンスから放たれるノイズやフリーインプロビゼーションの小さな織り込みもあり、とても印象的で静かなエンディングだ。

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