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Ruins - Tzomborgha

ドラムとベースだけでここまで表現し尽くすとやり切った感もあったのかもしれない、2002年の本作をもってベーシストは脱退、その後はサンプラーを使った吉田達也一人のプロジェクト、ルインズアローン等派生的な動きが増える。本作は音の質感もクリアでルインズの混沌とした世界観は後退、一方で現代音楽的な趣向やポップな一面も見える。

Wanzhemverggは短いフレーズの塊を幾重にも繋げたRuinsらしいハードな即面とその一方で中盤以降はシーンを変えてシンプルなブレイクビーツがアンビエントスケープに広がる絵画的な世界が折り重なっている。このアンビエントスケープは秀逸でベースラインはやはり短いフレーズだがとても美しい。

Zajyuは初期ルインズのハードコアな即面も思わせる重たいフレーズを積み重ねている。フリーインプロビゼーションとフレーズの組み合わせの中に訪れるブレイクと無音がとても効果的な緊張感をもたらす。

続くIssighridohは、別ユニット、高円寺百景ややはりゴングを連想する。本作は多重録音が施されているがそれでもこれをドラムとベースを軸に作り上げているその世界観自体が圧倒的だ。この緊張感をアルバム単位で表現しつくす精神力は本当に素晴らしいと思う。

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