Turn On The Sunlight - Warm Waves
ジェシーピーターソンを中心にして集まったミュージシャンによるアンビエントスケープに軸足を置きつつフリーでスピリチュアルな展開を描くユニット。本作は2020年の作品になるが全編通してほぼ即興演奏を収録したものになっている。随所にボイスパフォーマンスがはさみこまれているが、解説によれば唯一明確に発した言葉は”Peace All Over”であり、即興故、結果的にということかもしれないが、ここにある種のメッセージが込められているように思う。
Warm Wavesは、サムゲンデルによるおそらく自身が演奏したサックスを自らエレクトロニクス処理したものと思われるサックスのミニマルなアプローチが心地よい。柔らかくゆったりしたチルサウンドは、ミッチェルブラウンのテープコラージュやパーカッションの効果もあるように思う。一方、ジェシーピーターソンはベースやギターで参加しているが大きくフロントに出ることはなくサムゲンデルが奏でる楽想を支えるポジションに徹しているように思える。
Passing Rainは、ボイスパフォーマンスとシンセサイザーの短いフレーズの繰り返しの中でシンバルのロールが柔らかな波動を生み出している。エクスペリエンス色が強いがサウンドはあくまでオーガニックな作りになっている。アルバム後半にはこのトラックのリミックスが2種類収録されているが、どちらもオリジナルを活かしたオーガニックなアプローチが素晴らしい。
ララアジによるボイスパフォーマンスが素晴らしいWander The Open Skyを経て、Looking For A Waterfallはジェシーピーターソンによるバードホイッスルやフィールドレコーディングを従えたとても絵画的なサウンドが美しい。この2曲のつながりはとてもスムーズで心地よい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?