見出し画像

Boredoms - SUPERROOTS 9

山塚アイは、ノイズ、スカムからレイヴを経てポストエブリシングにいち早くたどり着いた人というイメージがある。Boredomsのスーパールーツシリーズは本編とは別にプロセスをそのまま見せていくスタイルだと思うが、本作はそういった一連の実験的なプロセスではなく過去のライヴトラックをそのままみせるというスタイルに落ち着いている。そのライヴの恍惚感は素晴らしくそのままここにパッケージされていると感じた。

冒頭、パッド系のサウンドから始まるが多幸感あるメジャーコードによるアンビエントスケープとライヴの空気が折り重なる美しいスタートだ。1:20あたりからの静寂と続くサウンドで一気に引き込まれる。1:45あたりからコードに変化が訪れるが極めて音楽的な展開だ。

3:50あたりからのシンバルのロールでライヴ本編がおそらく幕開ける。高揚する幕開けが美しさと若干のユーモアもあり聴衆とのコミュニケーション感がとても素晴らしい。6:00あたりから徐々にドラムがプリミティブなリズムを刻む。3台のドラムによる重奏とDJによるパッド系の電子音が徐々にシンクロしていくこのあたりは、スカムファンク期とレイヴ期のミクスチュアな雰囲気があり惹き込まれる。13:00頃のドラミングソロに至るまでの構図もとても印象的だ。

その後、37:00頃まで概ねプリミティブな恍惚感に覆われておりそのパワーを持続している点には驚かされる。また本作がライヴであることを忘れるくらいの没入感がある。その後、徐々にドラムは引き下がりスピリチュアルなサウンドコラージュに戻る。約40分、圧倒的なライブ音源だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?