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ENOLA QUINTET - ENOLA QUINTET plays YELLOW MAGIC ORCHESTRA

YMOのジャズアレンジカバーという明確に企画色が強くおそらくは敬遠されがちなテーマに挑戦したピアノトリオの2011年のアルバム。プロデューサーはギタリストだがJpop周辺のライブサポートを数多くこなした草間信一のピアノがとても心地よい。その点を照準に合わせているのであろう、選曲も必ずしも代表曲にこだわらないセットになっていて興味深い。

冒頭のPrologueは、ピアノを軸にすることでフランス印象派アプローチが原曲よりも色濃くなっている。この曲を選ぶということ、それを冒頭に持ってくることに非常に興味をもったのおが本作の聞いてみようと思ったきっかけだ。またCueのカバーも秀逸だった。Jentaによるヴォーカルが素晴らしい。本作の数年前にCorneliusが同曲をカバーしておりドラムと歌のアプローチは若干Corneliusの解釈に近いように感じる。

Shadows On The Groundは、ラテンフレーバー溢れるアレンジに向かうがとても自然な原曲の雰囲気を比較的そのまま活かしている。その意味では純然たるカバーにも聞こえる。続くSeoul Musicは単音連打の実験的なピアノからスタートする。歌のメロディーでようやくそれと分かるというくらいにここでは自由にアレンジされている。

Silence Of Timeはまずこの曲を選曲したこと自体が興味深い。その上で原曲を尊重するピアノとエレクトロニカから距離を置こうとするリズムトラックとの対比がとても面白い。この辺りはイージーリスニングやネオクラシカルにも通じる表現を感じる。とても心地よいアルバムだと思う。

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