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The Stance Brothers - Duktus

2023年の本作は、様々な名義で活躍するドラマーでありプロデューサーでもあるテディロックのスタンスブラザース名義のソロアルバム。CTIなどリスニング系のジャズやクロスオーバーサウンドと比較されることが多いようだ。プロデューサーとしてのメタ視点とドラマーとしてのリズムの質感のこだわりを両立させた仕上がりになっている。

Againはラウンジテイストなエレピのコードカッティングにヴィブラフォンとアナログシンセサイザーが奏でるテーマが透明度の高い楽想を形作っている。16ビートのハイハットとハンドクラップが印象的なリズムトラックが全体をコンテンポラリーに引き寄せていてレトロテイストとのバランスが素晴らしい。

King Cesarは、NuJazzにも通じるリズムトラックと転調を繰り返す和声がメロウに奏でられる。ここではベースラインが印象的だが、シンセサイザーの長音が不思議とトロピカリスモを思わせるアプローチを感じる。

Dam Reyesは、リズムボックスや2000年代のエレクトロニカを模したようなポリリズムを様々な楽器を使って表現している。奏でられるテーマは断片的なフレーズが連鎖するように組み立てられている。どの楽器も並列に配置されていてとてもフラットな印象だ。シンセサイザーはソロパートにおいてもフラットなアプローチを崩さず、複雑なアンサンブルを無機質に表現していくかなり独特な表現がとても面白い。

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