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The Durutti Column - The Return of the Durutti Column

1980年、FACT14はサンドペーパーのジャケットで話題になったようだ。それはサブスクリプションサービスで聴くことを躊躇させるようなカバーアートコンセプトだ。またここでのギターとエレクトロニクスの組み合わせはその後のポピュラーミュージックに大きな影響を与えたとされる。実際、淡いアルペジオとリズムボックスという組み合わせは多くのミュージックラバーを魅了しただろう。

冒頭のSketch for Summerは仮にこの曲しか世の中に放たれなかったとしても十分に衝撃的だったであろうと思う。静かな電子音のディレイからリズムボックスのスタートに続いて淡いギターのアルペジオがはじまると一気に惹き込まれる。緩やかなマイナーコードの中で諦観をも思わせる淡白な楽想が素晴らしい。時折饒舌なギターがエモーショナルな感情を表すところも素晴らしい。

Conductは、リバーブとディレイの中に浮遊するギターのインプロビゼーションからはじまる。捉えどころのないフレーズから徐々にカッティングとともにフレームを見せていき中盤からはリズムが入る。ドラムはかなりフリーなアプローチも織り込みつつギターが奏でるリズムに起伏を持たせている。環境音楽でもオルタナティブでもなく不思議な世界観だと思う。

冒頭の曲とタイトルは対になっている。Sletch for Winterは、非常に抽象的なアプローチだ。ギターとわずかなエフェクトだけで作り上げた空間は抑制されたフィーリングとひらめきに満ちたフレーズに埋め尽くされている。

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