見出し画像

Loris S. Sarid & Innis Chonnel - Where The Round Things Live

2022年の本作は、スコットランドの木材工房でフィールドレコーディングした素材を組み立てて即興の電子音やリズムトラックを追加した作品。フィールドレコーディングの音響がASMR的な効果を生んでいるように感じる。またカバーアートのデザインも秀逸で音の質感の美しさと合わせて非常にオーガニックな感触を受ける。

Glideは、フィールドレコーディングがフルに活かされたトラックになっている。冒頭から細かく刻まれた素材がリズムを形成し、ミニマルなシンセサイザーによるフレーズが徐々に乗る。細かな素材にかかわらず質感は柔らかく心地よい。

Dolphinは、ディレイ処理された電子音が静かなテーマを刻む。リズムトラックと同期するフィールド音源は抑制された配置で前面には出てこないが柔らかな空気を作るのに大きな役割を果たしているように思う。1990年代や2000年代頃のリスニング系のテクノの音響のようでもあるシンプルな構成が素晴らしい。

Spalted Water Portalは、チルアウト的なアプローチを軸にしながら随所に配置された短く細かなパッセージや低音に独特の質感をエディットしたキックがチルアウトに収まらない空気を醸し出している。この辺りもポストエブリシング的なアプローチと言えるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?