見出し画像

Sun Ra - Celestial Love

サンラの幅広いアプローチの中では初期作にも近く、一方でオーケストレーションを意識したアレンジはその後の音楽性も取り込みつつ、ラウンジ色の強い1984年の本作はとても心地よい。こういったラウンジミュージックが持つ効果とフリーなサンラの音楽の親和性は、例えばヤン冨田がそうであるようにどこかでその振れ幅を見せつつも自身の中では音楽的に折り重なるところがあるのだろうと思う。

冒頭のタイトル曲はゆったりしたオルガンに導かれるように管楽器のゆったりしたソロが展開するスウィングジャズだが随所にフリーキーな瞬間がありそれをむしろサンラのオルガンが制しているようにも聞こえるのが面白い。続く、Sometimes I’m Happyはミュージカル作品がナットキングコール等によって定着したスタンダード。サンラもスタンダードをそのまま受け入れている。この辺りは初期サターンレコードの音源に近い。

Blue Intensityはやや性急なパーカッションを伴ったスウィングに乗せたランニングベースとオルガンの組み合わせが心地よい。オルガンのラウンジ色溢れるソロに続くサックスもやはり順当なソロが素晴らしい。

Nameless One 3は、ノイジーなシンセサイザーのアプローチがこの頃のサンラらしくもあり、また不協和音混じりのオーケストレーションもフリーを思わせるが、全体としてはビッグバンドジャズの枠組みで抑制したアプローチになっている。はみ出しつつフォーマットも意識したバランス感覚が素晴らしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?