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Maisha - Welcome To A New Welcome

ドラマーのジェイクロング率いるマイシャはその名前からもスピリチュアル要素を感じるが実際にスピリチュアルジャズと言われることが多いようだ。瞑想的なエレピや時折呪術的な瞬間をはさみこむアフロビートを基調にしたリズム等、アリスコルトレーンやファラオサンダースと近い世界観を感じる。

2016年の本作はサウスロンドンで行われたアートイベント「Good Evening/Royal Albert」での演奏を収録したもの。冒頭のAfricaは呪術的なベースラインとエレピにパーカッションと性急なドラミングが折り重なるクロスオーバーアフロビートだ。フルートの静謐なソロがサックスに受け渡され、その後バンドが徐々に熱を帯びていく様子が素晴らしい。その間、一貫してクールなアフロビートカッティングを続けるギターがソロに切り替わる瞬間も聞き所だ。

タイトル曲はノンビートの瞑想的なサウンドに仕上がっている。エレピが示す和声感を支えるロングトーンのベースに合わせたインプロビゼーションを展開するドラムとパーカッション、それらを軸にして展開するサックス、どれも等しくスピリチュアルな展開を見せ、中盤のドラムのフィルインによって大きく前進する開放感が素晴らしい。

The Nighttranceは細かく刻まれたアフロビートが続く中で無調とスケールを行き来するフリーなソロが繰り返される。終盤、シーンが若干切り替わり、リズミカルなリフが繰り返される中で展開するギターソロの鋭利なアプローチが印象的だ。

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