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Scuba - SUB:STANCE In Retrograde

ポールローズは、このスキューバ名義でラジカルなダブステップ系作品のプロデユーサーとして知られている。アッパーな作品も多く発信しているが、やはり派手さはないが程よくラジカルな本作のような作風が素晴らしい。ベースミュージック、ミニマルダブテクノを連想するサウンドをベースに持ちながらノイズを含むサンプルの取り込み方に先鋭的なアプローチを持ち合わせているところがとても印象的だ。

冒頭のRolling Hitchは、細かく波形編集されたと思われるパーカッシブなフレーズとリズムトラックの組み合わせが非常にストイックなスタートだ。この部分だけでも十分に楽しめるが、ゆっくりと音響が加わりノイズやわずかなコードを伴って静かに楽曲を進行させていく。中盤以降はシンセベースも加わって音楽的な展開を持つ。

Gyroscopeは空間処理されたパーカッションとファンキーなシンセベースの組み合わせが美しい。強めのリズムトラックは複雑なリズム配置でありながらゆったりとも性急にも取れる自由度の高いシーケンスになっていてこのあたりはとても面白い。後半に向けて美しい和声が挿入されるがノイジーな世界観と和声の組み合わせが素晴らしい。

Weberwieseは、フィールドレコーディングされたと思われるマイキングの心地よさにまず耳を奪われる。静かに重ねられる電子音やボイスエディットも素晴らしい。ビートは前面に押し出されているが音響の美しさを保ったままリズムトラックが重ねられていてこの状態で徐々に複雑化していく構成がとても良い。

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