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Chicano Batman - Cycles Of Existential Rhyme

かつて北米からの留学生が南米で広めたという説もあるようだが南米サイケは北米での充実期を経て、1970年代前半に多くの名盤を残したように思う。Chicano Batmanは2008年に結成された西海岸のバンドだが1970年代のチカーノサイケを思わせるサウンドを展開している。本作は2014年にリリースされたアルバムでサイケロックの辿った道と同じように枯れたサウンドを展開している。

Cycles of Existential Rhymeは、オルガンのイントロメロディーが素晴らしい。そのままメロウなギターに導かれるうように流麗なボーカルが入る。ゆったりとしたリズムの中で浮遊感あるメロディーが素晴らしい。バンドは随所で複雑なフレーズを展開するが一貫してオルガンが全体の雰囲気をリードしている。

Lisandreandoは、チカーノロック直球のリードギターに漂うリズムの組み合わせが印象的なインストだが、続くアップテンポのEl Jalapenoへん繋ぎが素晴らしい。El Jalapenoはワウギターとブレイクが軽快でスペイン語が似合う展開だ。中盤のリズムチェンジを含めて短い中での豊かな展開も面白い。

後半ではスローなMagmaが印象的だ。オルガンのコードバッキングは叙情的なコードも相俟ってサイケデリックロック感の強い響きになっている。複雑なリズムフレーズやブレイクがごく自然に挿入されていてバンドに密接なアレンジが素晴らしい。本作がアルバムリリース時のリードトラックになっていたようだが端的にバンドの魅力が凝縮された1曲だと思う。

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