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The War On Drugs - Lost In The Dream

2014年の本作は、かつて在籍していたカートヴァイルがギターサポートからも抜けて、完全にアダムグランデュシェルが主導して作ったアルバムになる。カートと比較するとシンプルに歌を出していくスタイルと言われることが多いが、一方でサイケデリックな音響は程よく受け継がれており両要素のバランスがとても印象的だ。

冒頭、8分を超えるUnder the Pressureは、新たな音楽を築こうとするこのアルバムのオープニングにふさわしい。淡々としたエイトビートにホーンやギターが音響処理された中を漂う。エンディングは一層深く処理されたギターのミニマルなエディットが深いサイケデリック感を漂わせている。

続くRed Eyeは、アップテンポながら沈み込むようなスネアドラムとシンプルにコードをサポートするシンセサイザーが印象的だ。断片的なボーカルはエフェクト処理されたギターとユニゾンのメロディーを辿っている。アプローチはラジカルだがメロディーが明確でとてもポップなところが素晴らしい。

アルバムタイトル曲はトレモロギターによる淡いオープニングから静かにはじまる。徐々にビートが入るが終始穏やかな表情を変えない。恋愛はゲームだと歌い、そしていつも逃げていくと歌う。それらが淡々と歌われていく世界はやはりどこかカートヴァイルを感じさせるフィーリングがある。

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