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ザ・眼鏡職人

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那覇のビッグメガネから、眼鏡のマニアックな世界をご紹介します。一番目立つブランドアイコンというファッションアイテムであると同時に、ライフスタイルを左右する大切な医療ツールでもある… もっと読む
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メガネ業界の裏話~メイドインジャパンの危機?~

メガネ産地は世界各地にあります。フランス、オーストリア、ドイツのフレームも有名ですが、世界三大メガネ産地となると、イタリア、中国、日本だと言われています。 デザインのイタリア 大量生産の中国 技術と品質の日本 日本眼鏡の品質は世界的に知られており、現在では引く手あまたの状況です。メイドインジャパンの底力というか、メガネ産地鯖江で長年苦労してきた業界の皆さんの力あってこそ。 ところが、鯖江の眼鏡業界では今、危機感が広がっているそうです。原因は「メイドインジャパン」では無い

眼鏡のトリセツ(メガネを長く、心地よく使っていただくために)

【1】両手で掛け外ししてください 片手で掛けはずしするとフレームがゆがみ、見え方に影響します。また、折りたたむ時は左側のテンプルから折りたたむのが基本です。メガネはそのように作られています。 【2】水以外は苦手です 汗、果汁、油、ヘアスプレー、整髪料、化粧品、薬剤(トイレ、浴用洗剤)、洗剤、アルコールなどが付いたら、すぐに流水で洗い流してください。レンズやフレームの劣化、変質の原因となります。 【3】強い衝撃を受けると破損します 強い衝撃を与えると破損し、破片で眼や顔を負

メガネは万能ではありません【眼鏡職人の失敗】

ある日、今使っているメガネが合わなくてパソコン作業が辛いというお客様が来店されました。若い女性で近視の方です。 検眼調整して、お客様の仕事に合うメガネを10500円でお作りしました。 1週間ほどしてこの方が再度ご来店。 「手元は見えるけど、テレビが見づらくて困ってるんです。何とかできませんか」 「??? 念のために伺いますが、お年は?」 「49歳です」 おーまいがっ! 30歳前後と勘違いしたために、検眼時に年齢確認をしなかったビッグメガネ店長!!! 完全に加齢世

機能色々 用途色々 サングラスの選び方【その2】

以前にもお知らせしたのですが、「サングラス」は、次の3つに大別されます。 ■サングラス=歪みの少ない自然な見え方のもの ■偏光サングラス=サングラス+光の反射を抑えるもの ■ファッショングラス=それ以外のもの 気を付けていただきたいのはファッショングラスです。国の定めるレンズ光学試験をクリアしていないものが殆どです。例え「UVカット」や「偏光」と書かれていても、根拠がないわけですね。しかもレンズに歪みがあったりしますから、眼を守る意味でも心配です。多くは、メガネ専門店では

色で激変? サングラスの選び方【その1】

「夏だなぁ、眩しいなぁ、サングラスでも買うか~」といった感じで選んでいたサングラス。一番のポイントはデザインでしたよね。それとブランド。 「これ、カッコいいね~」 「こっちのほうが似合うかな」 こういったチョイスの仕方は、今や昔の話となりました。 気候変動も含めて、太陽が私たちに及ぼしているプラスマイナスの影響が理解されるにつれて、サングラスはファッション性と同時に、機能性を重視したものが好まれるようになっています。 もちろん、色の持つ効果についても、科学的に解明され

遠近だけではないんです。中近、近々、レンズが色々ある理由

ある程度の年代になると「遠近両用メガネ」をお求めになる方が増えてきます。遠くが見えて、近くも見えるのですから便利ですよね。 しかし、便利なレンズは遠近だけではないんです。というか、遠近ならではの不便さもありますので、使用環境に合わせて選ぶ必要があります。 簡単にご説明いたしますね。 ■遠近両用レンズ 遠・中・近を見ることができるレンズです。特徴は、遠くを見る部分が大きいこと。遠くも近くも見える便利なレンズなのでお使いの方、多いです。 ただし、中間距離が補助的であり、

セルロイド職人が作る「匠 角矢甚治郎作」

セルロイドの匠、角矢甚治郎作(かどやじんじろうさく)の新作フレームが、やっと到着しました。10月に注文して3月に入っての入荷です(;'∀')。 人気ですね~。 熟練した職人の手で、一本ずつ手作業で作られる「角矢甚治郎作」。今では数少ないセルロイド生地のフレームです。 昔ながらのセルロイド生地は、原板の段階で生地の水分を抜き取り、硬質で傷が付きにくく変形しにくいのが特徴。磨けば磨くほど自然で優しい光沢感がでてきますので、長く使えるフレームと言えます。 【匠 角矢甚治郎作と

一見オラオラのメタルエッジ、実は……。というメガネ業界の物語。

尖った印象のメタルエッジというフレーム。モードストリート系を意識したかのような個性的なデザインです。「渋谷系のデザイナーさんが生み出したブランド」と言っても違和感なし。 ところが製作しているのは、アイテックという会社。経済産業省の地域未来牽引企業に選定された表面処理の技術を誇る企業です。 なぜにメタルエッジ? 昭和23年、福井県鯖江市で創業したアイテック。表面処理加工メーカーとして眼鏡業界と共に成長してきました。メガネの企画販売を開始したのは昭和60年です。以来、質の高

「光老化」対策で若々しい人生を

目も肌も日焼けする 生き物は太陽によって生かされています。地球という星の奇跡ですよね。私たちも太陽光を適度に浴びることで身体の中にビタミンDが生成され、健康に暮らすことが出来ます。 とはいってもビタミンD生成に必要な光線量は、沖縄なら手の甲を太陽に10分もあてればOK。地域によって差があります。 太陽の下で長時間、無防備に過ごすのは「光老化」の原因となります。 光老化とは、太陽が原因で発生する皮膚の老化現象のこと。白内障、黄斑変性などの眼疾患もまた「光老化」によるもの

眼疲れ対応レンズ「トライガード」は、なぜ黄色をカットしたのか

ビッグメガネ那覇からの報告です。 先日、お客様の持込みフレームに、度無しレンズ(伊達メガネ?)をお入れしました、その感想がこちら(^^)v 「度無しレンズ(^0_0^)  でも、かけたらちょっとくっきりするのが分かります。  優れものだね。  トライガードにして良かったです。  やっぱ画面見てる時、目が楽。  嬉しい😊」 度無しレンズは、トライガードという製品です。 このレンズは、眼の視覚機能が衰えたり、眼を酷使して眼疲れを起こしている人に対して効果を発揮すると言われ

メガネレンズの進化を支える日本のコーティング技術

メガネレンズにはガラスとプラスチックがありますが、日本ではレンズの95%がプラスティックです。なぜでしょうか。 1970年代までは、ガラスレンズが主流でした。光学的に優れていますし、傷が付きにくく丈夫です。プラスティックのメリットは、軽くて割れにくいこと。しかし、屈折率(光を曲げる効果)がガラスより低いため、度が強いとレンズが厚くなる欠点がありました。 ところが1980年代になると、高屈折のプラスティックレンズが登場します。ゆがみの少ない非球面設計や反射防止・水ヤケ防止な

加齢注意報発令中! ひとみを大切に

朝、顔を洗ってふと鏡を見たら、「あれ? 黒眼の周囲が、薄くなっている?」ことに気づきました。白内障の初期症状と思われます、瞳の真ん中ではなくて周辺部ですので、視えに影響は出ていません。 沖縄の紫外線は曇りでも油断できず。常にサングラスをかけて用心していたんですが、ついに私にも兆候が現われました~(T_T) ということで、加齢が眼に及ぼす影響をご紹介。 若見えしても40代は、下り坂の第一歩 もし、あなたの年齢が55~60歳だとすると、20代前半の若者と比べると視覚・聴覚

ブルーライトって、ほんとにダメなの?

分かっているようでイマイチ分からない、ブルーライトって、ほんとうに目に悪いの??? という質問をいただきましたよ~。イトーレンズさんやホヤさんのHPでも詳しく説明されておりますが、ビッグメガネ那覇でもまとめてみますね(^^)v。 ■まず、光とは、何ぞや。太陽が無いと、光もありませんよね。だから太陽から届くのが光、と考えがちですが、実は違います。 太陽から地球に届いているのは「電磁波」なんです。この電磁波が物体にあたって反射すると光になります。その結果、私たちは物体の色を

メガネにも生まれ育ちがあります

ビッグメガネ那覇は、メガネの修理依頼をよくいただきます。当店お買い上げはもとより、他店、他県購入フレームもお受けしているのですが、先日持ち込まれたフレーム破損について「???」というケースがありました。ご紹介しますね。 片方のテンプルが折れたケースです。お客様が購入店(たぶん量販店)に持ち込んだところ、取り換えたいなら同じメガネを丸ごと一本買ってくれと言われたそうです。つまり、買い替え要請ですね。 そこでお客様は、ビッグメガネ那覇に修理依頼されたわけです。費用は5千円前後