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#065 マウントを取り合う大人達

photo:フィリピンのWHO西太平洋地域事務局にて(2016.3)

※記事は現職の話題ではないのであしからず。

職場の上層部の人たちが噛み合わない、直接対話をしないからバラバラの方針が部下に降りてくる。こんな経験はないだろうか。
僕からしてみれば、とても不思議な現象である。なぜそんなに「向き合えない」のか。
上層部のオジサマ達は、往々にして不仲である。会議でも互いにマウントを取り合い、不毛な時間を費やし、実のある意思決定ができないのである。
どうしてこんなことが起こるのだろう。

1,無能だと思われることに強い恐れがある

臆病なひとほど、自分を大きく見せ、ひどい時には前職の話を持ち出して武勇伝を語りだす。これは部下にしてみたら、たまったものではない。あなた達の武勇伝なんかよりも、最近の若手はもっと色々な経験をしてきているので、別に驚くに値しない。(へえー、すごいですねー、と相槌を打つのも若手が疲れるのでやめてほしい)。
「知っている」ことが価値である時代を生き抜いてきたオジサマ達。知識はひけらかすけど、手を動かさないヒトが多すぎないだろうか。現代の若手はデジタルで何でも瞬時に知識を得てしまう。「知っている」ことはもう価値を持たないのである。

2,旧来のマネジメントで部下がついてくると思い込んでいる
誰が次の部長や執行役員になるのか。ポジションを奪い合うオジサン達。
どうぞ勝手にやってほしい。
その代わり、やるならきちんとマネジメントを学んでほしい。事業戦略とはどういうものか、スタッフのモチベーションを維持するにはどんな関りをすべきか、など学ぶべきことは多岐に渡るはずだ。プレーヤーとして優秀だったのかもしれないが、それは側近やバックオフィスに優秀なスタッフがいて、常に支えてくれていたからだ。あなたの実力ではないのだ。
最近の若手は、ボーナスや昇給、ノミュニケーションでモチベーションは保たれない。むしろ、仕事の面白さや貢献度が重要だ。クソみたいな仕事(bullshit job)ばかり与えて、オイシイところだけ持っていく上司は直ぐに見切られるはずだ。

3,自分でジャッジできない
自分のレベルでジャッジができない上長は、さらに上位へ報告を上げる。
結果、部下は裏切られた気持ちになる。「そんなことまで報告するか!?」という事案に対して、2階級上の上席から(間接的であれ)指導を受けたら、部下は離れていくに決まっている。2階級上の上司から直接電話がかかってきたり、叱責されたり、これはルール違反だと思ってほしい(関係性にもよるだろうが)。

上記のような事象によって、被害を被るのはいつも部下である。
・訳のわからない仕事が降ってくる(成果につながるのか不明なやつ)
・提出物を出したはいいけれど、何もフィードバックがない。
「データをまとめて報告して」という上長自身のデータリテラシーがゼロってことも、「あるある」ではなかろうか。
・上層部の話がまとまっていないことで方針変更がかかり、部下の仕事に手戻りが発生する →これこそ最悪なやつだ。
・上層部たちの間で謎の合意形成が生まれ、「部下をどう配置し、どう使うか」に話が終始する。自分たちの能力は決して還りみられない。なぜなら、そこに触れるとそれぞれの、無能さが露呈してしまうからだ。

僕がこれまで心掛けてきた事
①曖昧な事は、必ず全員返信メールや会議の場でツッコミを入れる。
特に部下に降ってきそうなタスクの話題になった時、要注意だ。目的と手段の混同はよくある話だし、誰が何をいつまでにどうする(5W1H)がふわっとしていたら、必ず部下から確認の発言をすることだ。
この時やってはいけない事、それは、部下同士で話合うことだ。「部長は○○さんが●月までに書類を準備するって言ってたけど、○○さん、産休でいなくなるよね?どうするんだろ?あと、●月のいつまでなんだろうね?」などと、あーでもない、こーでもない、と部下同士でやり取りするのは不毛!
必ず、関係者全員の場で確認すること。うるせー奴だなあと思われることを恐れてはいけない。何人もの貴重な時間を無駄にする可能性があるからだ。

②マウントの取り合いには関わらない
その代わり、知識人には積極的に教えを乞うべきである。
上層部のAさんに聞いて、Bさんにも個別に聞き、自分でググって自分なりの回答を持っておけばよいのである。ちなみに、僕の経験上、自分の知識をひけらかすひとのほとんどは、古い知識をアップデートしていないケースが多い。だから、その筋の外部の専門家にしれっと確認するのは有効だ。
社内の●●さんが言ったから、で動くのは危険だ。必ず裏を取っておくこと。

③特定の誰かに寄り過ぎない、人の愚痴を言わない
ヒトは部下に慕われたら気分が良いものである。「会議で話題に出ていた●●●●について調べてみたんですけど、○○さんのご経験では現実に即していますか?」、など良質なタイプの質問をすることだ。
あの人はこう言ってたんですけど、とか、○○さんの意見はかなり偏っていますよねーなどと、批判めいた発言は避けた方が良い。何故なら、マウントをとりがちな人種なのだから、いずれ本人の耳に入るのである。「こないだやさかも君が、あなたの意見は偏っているって言ってたよ。」なんて言われたら無念だ。これが一番難しいかもしれないが、本人に面と向かって言えない愚痴は慎むべきだろう。

オジサマ達のマウンティングからは距離を置きつつ、軽やかに生きる処世術が必要だ。
そして、自分も老害と言われないように、身を引き締めようではないか。


65日目 おわり。