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蔵出し:「全車両に車椅子用リスト付き―公共バス」(こんなシステムあったらいいな(3)」fom 野菜さらだの『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』第16回

※この蔵出しシリーズは、1996年~2002年までアメリカに留学していた野菜さらだが後半の1999年~約三年間、週2回発行していたメールマガジンの記事をそのままそっくりお送りするものです。今回は、毎日更新していきますので、お楽しみいただければ幸いです!

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  野菜さらだの
   『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(愛称アメすん)
         (1999/7/23発行) 第16号 (火・金曜発行+日曜版)
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今日は3回シリーズ「こんなシステムあったらいいな一生活編一」最終回です。

◆システムその3「全車両に車椅子用リフト付き一公共バス一」

 日本からこちらに遊びにきてくれた友だちがまずびっくりするのが、町のそこここで車椅子に乗った人が一人で出かけているを見かけることです。こちらではちょっと外に出れば、どこでも障害を持った人に出会うことができます。それはすごく自然なことで一々誰も気に止めていません。

 それもそのはず、町中を走る公共のバスのほとんどすべてに車椅子用のリフト(車椅子ごとそこに乗って、バスに乗車できるようになっている簡単なリフト)が設置されているからなのです。バスの運転手さんも障害を持った人にどのように援助をすれば良いかきちんとトレーニングを受けているようで、車椅子の人が乗り込んでくるとさっと運転席から立ち上がり、手際良く車椅子がバス内の所定の位置に行けるように、またその後、シートベルトを車椅子にささっとかけるのを手伝っています。

 リフトの昇降にはもちろん少し時間がかかりますが、バスの他の乗客もきちんと心得ており、必要とあらば手を貸し、後はみな穏やかにすべての作業が終わるのを待っています(これは何度見てもとても良い光景です)。このようなシステムになっているのは、1990年にADA (Americans with Disabilities
Act「障害をもつアメリカ人法」)という法律が制定されたおかげで、こういう法律は一刻も早く日本でも制定されるべきとしみじみ思います(余計な法律ばかり作る前にね!)。

 アムトラックという長距離電車でも、障害を持った人用には1階にファミリールームのような形で丸々一部屋の個室が用意されており、もちろんそこにはトイレも併設されています。

 障害を持った人がちょっと外に出る、あるいは本格的な旅に出る、どちらをとってもこれを支える社会システムは、今のところアメリカの方が日本より何倍も進んでいる、そう結論せざるを得ないようです。   (つづく)

◆シリーズ最後に:こういう話ですと、いつも「アメリカは何でも日本より素晴しい」とそういうニュアンスになりがちですが、実はアメリカのシステムで「こんなのいらない!」と思うものもあります。

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◆お断り:この『アメすん』は、かつてアメリカのオレゴンに住んでいた野菜さらだが個人的に体験した、おもしろい話を友だちや家族に話すようなつもりで書いたものです。アメリカの他の場所とは違う、というエピソードも中にはあるかと思いますが、まあ、気楽に読んで楽しんでください。
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#創作大賞2023

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