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平成21・22年の八重山毎日新聞を読み返していると、
地域リハビリテーションを築く会「やーるー」発足時のことを思い出す。

離島・僻地の多い沖縄県。
私たち「やーるー」の仲間は、石垣島の病院で同僚として出会った。
外来や入院中のリハビリテーションを担当していた私たちの経験年数は様々であったが、退院後離島・僻地(元の生活)に戻られる患者様の環境をもう少し改善できないものかという悩みは同じだった。そのため、「やーるー」が発足するまでに時間はかからなかった。

「やーるー」という名前は、[ 沖縄の家を守る家守 ] と [ 何でもやる(やーるー)]をひっかけたもの(笑)。ちょっとゆるい感じではあるが、「八重山地域で、障害があっても自分の希望する地域に住みながら、十分なリハビリテーションを含むサービスを受けることができるような地域リハビリテーションシステムを構築すること」という目的は明確であった。

最初は竹富町役場の力を借り、休みを利用しては離島に出かけ、健康体操教室や個別相談会を行ってきた。船に弱い私は船酔いが激しく、体操教室までの準備を先輩方にお願いし、休ませてもらっていたことを思い返す(笑)。休みの日にも関わらず協力してくださる役場や地域の方々のお陰で、数多く貴重な経験をさせて頂いた。その後、与那国町役場の協力を得て、与那国島でも活動させて頂いている。

竹富町役場での活動報告会では

平成21年9月から平成22年5月までの間に町内6島8か所で健康体操教室と個別相談会を開き、町民ニーズの把握を試みた(参加者の総数は184名)。町内では低所得や物価高のため、家計の維持のためには共稼ぎが必要。そのため、家族の介護力不足が生じ、在宅支援サービスも不十分で障害を抱えると、島では暮らせない状況。①訪問看護ステーションの設置、②医療機関への委託、③地元の人的資源の活用、④大学など研究機関 との連携などの4点を提言してきた。

その後、私は石垣島から離れ、沖縄本島、東日本大震災後の宮城県気仙沼市、現在の北九州市と環境を変えてはきたが、現在も「やーるー」として活動させてもらっている。やはり同じ思いを抱える仲間の力は大きい。

「やーるー」発足より13年。その間、法人化(一般社団法人八重山地域リハビリテーション支援ユニット)したり、JOYいしがき(デイサービス)を構えるなど、「やーるー」も少しずつ形を変えてきた。

最近は竹富町にも訪問リハビリテーション(保険サービス)が入るようになったと聞いている。島民にとっては、とても喜ばしいことである。「リハビリ実施体制を!」が少しずつ形になってきているからだ。多くの力が八重山地域の環境を良い方向へ導いているように感じ、ただただ嬉しく思う。「やーるー」で発信してきたことが年数はかかっても少しずつ形になってきている。

COVID19のお陰で生活様式が変わり、考えさせられることが増えた。これまでの生活が当たり前でなくなった今、自分たちに何ができるのか、今後も模索していきたい。

最近の試みでは、以前竹富町で行ったリモートでのリハビリテーション。対象者を変えて、石垣島と本土を繋いで実施できるようになった。現在のIT機器を存分に使うことで離島・僻地医療の地域格差を埋めることができれば、こんな嬉しいことはない。

また、「やーるー」として実働できる喜びを感じながら、今後も活動していきたい。

                    自費訪問リハTREE 橋爪佳代

#リハビリ #八重山 #理学療法士


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