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弱みが強み。映画と演劇という媒体の違いを改めて比べてみた

新型コロナウイルスの影響で約2ヶ月間におよぶ緊急事態宣言の自粛生活と、依然できる限り他人との接触を避ける(ソーシャルディスタンス戦略)日々が続いています。

この状況下で経済がストップし、多くの事業が存続の危機に直面しました。すでに駅前にあった美味しいラーメン屋など個人店が軒並み潰れてしまったのを見ると、事の重大さを改めて痛感させられ、とても寂しい気持ちになります。

人件費はもちろん、特に固定で維持費が発生し続ける中小規模事業者にとってはダメージが大きいとお察しします。(不動産の賃料など、まわりまわって誰かの所得であることは間違いないですが、痛み分けできないのが世知辛い限りですね…)

それはエンタメ業界でもしかり。ただでさえビジネス的に不安定な世界で、不要不急と言われ止められてしまうと、物理的な空間である映画館や劇場にとっては死活問題です。それを救うため、「SAVE the CINEMA」や「Save Our Space」といった支援プロジェクトが多く立ち上がりました。

そのそれぞれの分野の活動について、内容や温度・スピード感など違いが見られまして、なんとなくこんなときだからこそ、個人的に比較を整理しておきます。

※ちなみに、「映画のフィクション」と「舞台のストレートプレイ」を総じて、仮に"芝居エンターテインメント"と呼びましょうか。

▼芝居エンターテインメント比較表

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4象限の表にまとめてみました。どれも当たり前の特徴になりましたが、ざっとこんな感じかと。どの特徴も強みが弱みでもあり、弱みが強みだったりもします。どちらが良いとかではなく、何を求め、何を伝えるかです。

●映画(映像作品)って

映画という映像作品は、メディア化・パッケージ化しやすく、時間や場所を選ばず多くの人に観てもらえるチャンスがあるスケールすることが最大の特長です。時代や、いまや海をも超えて広がり、字幕も付ければ言語の壁も比較的容易に飛び越えられます。

反対にそれゆえ、プリプロ〜ポスプロまで製作期間が長く関係者が多くなりやすいということがあります。多岐にわたる分野のプロたちの力を集結させ、ひとつの作品を創り上げる醍醐味でもありますが(毎度エンドロールの名前の多さに涙する)、どうしてもタイムリーには届けづらくなります。そのため少し先の公開期間を考慮したメッセージを意識する必要があります。

ただ記録として残り、ロングテールで拡がっていく持続性がありますので、その時代に刻み込み語り継がれていくのが映画というものです。

●演劇(舞台作品)って

舞台というリアルの場で創り上げる演劇の最大の特長は、言わずもがなLIVE感です。そのときその瞬間で公演という作品の内容が変化し、お客さんと一緒に完成させるというのが面白さですね。

それゆえ、三密自粛という状況下において一番つらい思いをする現場のはずです。密です、密です、密です…

対コロナという逆境において、「リモート演劇」という新しいエンタメのかたちが生まれましたが、やはり役者同士、お客さんと直接向かい合って同じ時間・空間を共有できないのは、魅力を半分も再現できていないとは感じます。

そういう意味で、”いま”を写し出し表現するのが演劇であり、時事性を反映しやすいというのも旨味のひとつです。

だからこそ逆に、記録に残しづらく、メディアに乗りにくく、拡散しづらいというのがこだわりでもあり、時に足かせともなります。たとえば、友だちにおすすめしたくても公演期間を逃すと、後で観てもらうことができず共有が難しいという悩ましいところがあります。その稀少性が虜にさせるツボなんでしょうけどね。

映画と演劇ってホントにいいものですね

あー映画館で映画と、劇場で演劇が観たくなってきた!

…と、ただただ表にまとめたありがちな4ことぐらいを伝えたかったのに、だらだらと書いてしまいましたが、このあたりで筆とマイクを置いてステージを降りたいと思います。

本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございました!


与え合いの恩贈りで巡る世の中になったらいいな。 だれでも好きなこと、ちょっと得意な自分にできることで、だれかのためになれて、それが仕事にもできたら、そんな素敵なことはないですね。 ぼくの活動が少しでも、あなたの人生のエネルギーになれましたらうれしいです。