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東京に移住する人へ

東京で新生活を始める人へ。暮らしのアドバイス

私は東京を離れますが、この春から東京暮らしを始める方も多くいると思います。偉そうにアドバイスできる立場ではありませんが、元住人として、いくつか東京ライフを楽しむヒントを紹介できればと思います。

出会うこと

まずは、出会うこと。東京は人生の交差点です。人が織りなす文化の交差点でもあります。面白い場所に行き、人に出会い、それを通じて自分を変えることを楽しんでください。価値観というのは思っている以上に柔らかいものです。私は、星野道夫さんやダミアン・ハーストに出会った(といっても単に展示を見ただけですが)ことが、深いところで自分を変えたと感じています。

場所と親密になること

二つ目は、場所と親密になること。私は、日常、アート、食と酒、という地図を(あくまで心の中にですが)持っていました。それぞれのレイヤーで、自分にとって価値のある場所にピンを落としていくことで、これまで無関係だった土地が、のっぴきならない存在に変わります。例えば、ただの渋谷だったものが、お気に入りのパン屋、ワインバー、ギャラリーが増えていくことで、いきいきとした個性ある人格のように感じられるようになりました。

現実の多層性を知ること

三つ目は、現実の多層性を知ること。これは言葉にするのが難しいのですが、GMT+9のタイムゾーンで正確に運行するメトロに慣れていると、現実はひとつしかないと感じがちです。でも、実際は、もっと曖昧で、いろんな現実が重なり合っていると思ったほうが良いです。自分の見ている現実が絶対でないという考えは、だれかと激しく意見が対立したり、追い詰められた局面で特に役立つと思います。

プライベートなものを大切にすること

最後に、プライベートなものを大切にすること。東京は富裕層の多い街なので、高価なものと高貴なものを混同しがちです。高価なものは、大きな出費を伴うものです。一方で、高貴なものとは、プライベートなものです。話は変わりますが、以前氷見の漁港で評判の定食屋を訪れたとき、老いた家族を懸命に支えながら入店する方とすれ違いました。高貴さとは、そうことだと思います。自分の出自や、思い出、人間関係、ビジョンの近くにあるものを大切にしてください。

一極集中や消費主義のアイコンとして語られる東京は、人の概念や統計の中にあるもので、リアルではありません。東京には、課題とともに、素晴らしい人や場所が存在しています。

ぜひ、東京という街を手触りと人の体温に溢れた場所として、いきいきと楽しんでください。新生活おめでとうございます。

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