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コロナ渦不染日記 #80

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十二月七日(月)

 ○朝から頭が痛くてならない。すわ、新型コロナウィルスに罹患したかと体温を計ってみたが、平熱であった。
 今朝の体温は三六・〇度。

 ○最近、ハードディスク内から発見してきた、曲のタイトルがわからない。正確には、「2012-02-26_21h42m39」というファイル名の、DJミックス音源のなかにある、以下の歌詞の曲のタイトルがわからないのである。

あーむかつく 強いストレス抱えこみ
あーはらたつ 心に血をにじませる
とりあえずわたしは いい子ちゃんで
よくよく事なかれ主義
さわらぬ神にたたりなし めんどいものは愛情

お人好しなやつは 結局損をしてしまう
立ち位置よくしたつもりが 結局損をしてしまう
せめがなければすべて おしつけられる
気がつけば汚れ役に
弱い自分を見抜かれて わたしは誰かの足場

流されるだけで生きてたら
人も自分に気づかない
こんな毎日に誰がした
他でもない 自分じしん

くたばれ ざっけんなざけんNight
自業自得と決別しよう
空疎なプライドとか ポリシーとか
捨て去って 正直に

しみぐされ ざっけんなざけんNight
新しい自分見つけよう
ここからは ほんとうのMy Life
つかみましょう ほんとうのYour Life

太字強調の部分は、正確に聞き取れていない部分)

 曲の種類としては、いわゆる「ボカロ曲」で、初音ミク、鏡音リン&レンが歌っている。歌詞のひねくれ具合が、たいそう気に入って、毎日、通勤時に聞いているのだが、タイトルも、誰が作った曲なのかも、まったくわからないのである。ヒントは、ファイル名にある日付だろうか。「二〇一二年二月二十六日」は、日曜日であった。あるいは、その日になにかイベントがあって、プレイされたものかもしれない。

 ○ミックスの最初の二曲は、二〇一一年の末から、「ボカロP」として活動を開始された、砂粒氏の、以下の二曲である。

 ぼくは、当時、氏の作る曲とCGが好きで、新作を追いかけていたので、たぶん、その関係でこのファイルを手に入れたのだろう。そこのところもヒントになるかもしれない。

 ○もし、この日記をお読みのかたで、この歌に関してご存じの方がいたら、ご教示賜りたい。

 ○仕事で、仕様の大激変が起こった。都合のよい変化もあり、都合の悪い変化もあったが、とにかく変化は余波を生む。その余波を、なんとか治めて、波風を少なくしなければならない。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、一五二一人(前日比-五〇四人)。
 そのうち、東京は、二九九人(前日比-二八人)。

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十二月八日(火)

 ○今朝の体温は三六・〇度。

 ○昨日、仕事に関して報告された激変を、取引先に伝えると、そちらも寝耳に水だったようで、報告をありがたがられるとともに、取引担当とふたり、頭をかかえてしまった。
 ただでさえ、新型コロナウィルスの新規感染者報告数が、週を追うごとに増加して、本格的な感染拡大(第三波)が来ていると言われているなかである。それへの対策にも、日々思考のリソースを割かれているところに、また新たな案件を持ちこまれて、取引先もたまったものではなかろうが、それはこちらもおなじことである。担当と二人、ともに苦難をのり越えようという結論に落ち着いた。落ち着くしかなかったのである。たがいに苦笑する。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、二一七三人(前日比+六五二人)。
 そのうち、東京は、三五二人(前日比+五三人)。

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十二月九日(水)

 ○今週も、新人を同行するので、今朝は、いつもより早めに起きて、巣穴を出た。外は暗い。
 今朝の体温は三六・一度。

 ○業務の、重要な案件と、新人同行がバッティングし、双方、すこしずつやりそこなう部分が出てきてしまった。大激変の余波を乗り切る処置もしなければならないので、同時並行のタスクが三つということになる。消化不良の日であった。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、二八〇九人(前日比+六三六人)。
 そのうち、東京は、五七二人(前日比+二二〇人)。


十二月十日(木)

 ○今朝の体温は三六・〇度。

 ○今日の仕事は、すこし強引に物事を進めてしまった。反省しきりである。

 ○たいそう疲れて地元に戻り、こころの静養のために、書店にむかう。日々、本に囲まれて、本と本棚のあいだで寝ているぼくであるから、本がたくさんある空間にいると、リラックスしてくるのである。
 新刊書のコーナーで、朝松健先生の『血と炎の京』を発見。購入する。

 朝松健先生は、ホラーとオカルト、そして魔術の作家として有名だが、それらジャンルを得意とするということは、つまり、人が描ける作家であり、社会が描ける作家であるこということである。ということは、「伝奇」の作家としても一流であるということである。現実を描けない作家に、現実を超えた恐怖も、知られざる世界の真実も、世界を動かす法則も、描くことはできないからである。
 むかし、先生が講師を務められた、小説講座に参加したことがある。そのとき、先生が、

「時代小説や伝奇小説を書くなら、禁止令を調べることです。禁止令が出ているということは、禁止されていることが、その直前に流行っていたということだからです。そういうところから、物語が作れる」

 とおっしゃっていたのは、なるほど、伝奇の作家らしい、そして、ホラー/オカルト/魔術の作家らしい、「事実」の取材の奥義であったのだ。

 ○その朝松先生も、作品を寄せている、「異形コレクション」シリーズの新刊『蠱惑の本』も探したのだが、見つからなかった。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、二九七一人(前日比+一六二人)。
 そのうち、東京は、六〇二人(前日比+三〇人)。


十二月十一日(金)

 ○今朝の体温は三六・〇度。

 ○在宅勤務の日を終え、浜で友人と飲む。チーズ料理の店で、映画や本の話をして、盛りあがった。やはり、趣味のあう友人は代えがたいものである。

 ○本日の、全国の新規感染者数は、二七九八人(前日比-一七三人)。
 そのうち、東京は、五九五人(前日比-七人)。
 全国、東京、ともに、新規感染者報告数が、高い数字を維持したまま、おおきくは動かない。というよりも、二百人程度減ったところで、それは「おおきな」動きではなくなってしまっている。

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引用・参考文献



イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/


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