コロナ渦不染日記 #89
一月二日(土)
○こんな夢を見た。
高校か、中学か、とにかく見知らぬ学校にいる。目的ははっきりしていて、プレゼントの入った紙袋を回収するのである。協力者はおらず、ひとりで全教室をまわって、紙袋をすべて手に入れなければならない。
そのとおりにして、面倒だなあと思ったところで目が覚めた。二〇二一年の初夢である。
○田舎のボイラータンクに灯油を足し、ついでにだるまストーブにも灯油をつぎ足して、仏壇に線香をあげてから、田舎を出た。相棒の下品ラビットとともに電車にゆられて帰宅した。
○夜、ししジニーさん、ゆんぺすさんと、新年最初のリモート映画会。
若山富三郎主演の『子連れ狼 冥府魔道』と、『スペースコブラ』の十六話「地獄へ!ラグボール」から十九話「なるか!?逆転ホームラン」までの、いわゆる「ラグボール編」を見た。
前者は、若山富三郎が拝一刀を演じるシリーズ全録作品中のの第五作めであるが、原作を熟知しているおふたり相手ならば、どこから見てもおもしろがられるだろうという判断からセレクトした(セレクトの際には、もちろん、『子連れ狼わくわく大図鑑』を参照した)。原作第一部屈指のエピソードのひとつである、「無門関」をベースに、拝一刀が唯一、精神的に勝てなかった相手に打ち勝つ理由を、原作とは異なる「一子・大五郎のなかに、ほんらい自分が持っていたはずの、狼の生き様と強い意思を見たから」というものに設定しているのがすばらしい。ただ、個人的につよく推したかった、「採石場での二〇分におよぶ殺陣」は、このエピソードではなく、シリーズ第三作『死に風に向かう乳母車』であったのが惜しい。
後者は、『スペースコブラ』シリーズ中で、もっともエキサイティングでもっとものんきなエピソードであろう。ロバート・アルドリッチ監督の映画『ロンゲスト・ヤード』を下敷きにしているのは間違いなく、これだけで傑作であることが約束されるうえに、「潜入捜査もの」としてのおもしろさと、結末のあざやかさは、間違いなく寺沢武一原作の持ち味である。全四話、二時間見て、まったく損な瞬間のない連作である。
○本日の、全国の新規感染者数は、三〇五三人(前週比-八二七人)。
そのうち、東京は、八一四人(前週比-一三五人)。
一月三日(日)
○初詣のゆく先は、埼玉県浦和にある、調[つき]神社と決まっている。
理由は明確で、ぼくたちうさぎの神社だからである。
調神社の縁起に関しては、ホームページを見るとして、なぜ狛犬のかわりにうさぎが鎮座ましましているのかは、さだかでない。「調[つき]=月」だからうさぎがマスコットになっている、という説がもっともらしいが、ということは、そもそもうさぎは副次的なものであった可能性が高い、ということであろう。祀られているのは天照大神、豊宇気毘賣神、素盞嗚尊の三柱であるから、ここにもうさぎは関係ない。天照大神がおられ、素戔嗚尊がおられるとあれば、月読尊がいてもよかろうと思うが、そこに名が連ねられていないかわりに、あるいは「調宮[つきのみや]」がもうけられたのであろうか。いずれにしても伊勢の神宮にゆかりあるお社であろう。
参拝を終え、姪うさぎのためにお守りをいただく。ついでにおみくじを引くと「半凶」と出た。いましめのために財布に入れ、持ち歩くこととする。
○参拝後は、岬へ移動し、イナバさんと四文屋で飲む。イナバさんが、ひさびさにゲーセンで散在したいというので、三匹でクレーンゲームに興じた。
○井上雅彦・編『蠱惑の本 異形コレクション』を読む。
○本日の、全国の新規感染者数は、三一五七人(前週比-七二三人)。
そのうち、東京は、八一六人(前週比+一〇八人)。
引用・参考文献
イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/)