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お酒のお話

 日本中がGWの初日ですが、我が家は平常の朝でした。息子は作業所に出かけ、私は掃除、洗濯を済ませて、朝イチで買い物に出かけました。

 いつもと違うのは、お酒売り場で長いこと過ごしていたことです。今夜は娘が帰省してくるのです。夫に似てアルコールに強い娘には、檸檬堂の缶酎ハイを1本。家では飲まない私ですが、今日は特別にとお酒を選んでいるのです。

 下戸の私は、かつてビールをコップ三分の一をやっと飲んで、直ぐに熟睡していました。ある時イタリアでチンザノのスパークリングワインに出会い、初めてお酒が「美味しい!」と思いました。それから飲む機会がある度に、いろいろ挑戦しているのです。日本酒のスパークリングワインの澪やシードルは甘くて飲みやすいですね。甘いカクテルも大好きです。

 なにより焼肉の時の生ビールの1口目はたまらんです。量は飲めませんが、最初の一口の喜びを知ることが出来たのは幸運でした。苦手だと、ずっと避けていたら、1口目の最高の瞬間には出会えませんでしたから。

 もちろん、「これはダメだ!」という時のために、たいてい友人の飲兵衛さんが隣に待機してくれています。だから安心して、いろいろオーダーしてみるのです。甘めのフルーツビールや軽めのコロナビール、サングリアなんかを、ちびちび頂いています。サントリーのプレミアムモルツも外せません。

 日本酒は匂いが苦手で飲めません。それでも酒蔵見学に出かけたり、珍しいお酒を見つけたら飲兵衛さんに献上して味見をしてもらいます。「これは美味い!」とお墨付きを頂いたら、お酒好きの友人への手土産にすることにしています。

 この飲兵衛さんが1番好きなのはウィスキーなのですが、私は苦くて飲めません。しかし琥珀色の液体の美しさに引かれるように、ニッカの竹鶴政孝の本を読んだり、サントリーの山﨑の工場見学に出かけてみたりもします。

 ある時、お世話になった飲兵衛さんに、お礼にウィスキーをプレゼントしようと思い立ちました。そしてデパートの売り場の方に、予算、好み、好きなおつまみからお酒を選んでもらいました。「これはウィスキーのロールスロイスと言われています。」と紹介されたのがマッカランでした。

 「ロールスロイスですよ!」高級車に例えた比喩が、妙にツボにハマりました。樽とかブレンドとかは、よく分からないけど、ロールスロイスならわかります。高級感あふれる響きに美味しそうな妄想が広がりました。

 プレゼントなどの物のやり取りの風習が嫌いな飲兵衛さんは「お礼なんていらない。そんなものを受け取る筋合いはない。」と猛烈に抵抗しました。しかし箱の中身がマッカランであることを伝えると、その瞬間、この世の者とは思えないほど、顔中のパーツが垂れ下がりました。眉毛も目も、広角も・・・ゆるゆるになりました。そして愛おしくマッカランを抱きしめて帰って行きました。

 好きなものがあると、人生は彩が豊かになる。そう思えた瞬間でした。今宵は娘と、美味しいお酒をいただきましょう。

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