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今月の短歌 23年11月16日~11月30日

あこがれのスタイリストになれた日に見えた景色が少し重くて

周期表になった下敷きを発見 これだ、薬剤師の脳内は

酒を突っ込まれ 既得権益者に頭を踏まれ 築いた未来

ボリュームはサッカーシューズほど薄く蹴ればベッカム円い軌道で

気がつけば年越し模様コンビニで早めの稲垣潤一を聞く

その嘘で癒やしてくれてありがとう 冷えゆく夜のフォックスフェイス

泣き顔を堪えるためのあの山に今年初めての雪が降った

この胸とあなたの胸も「きのえたつ」待つ 加速するカウントダウン

正位置の塔に見立てて霹靂が砕いた過去に重ねる煉瓦

積み上げた歌集を読めど気持ちだけ擦り減っていく歪な変化

サッカーの神様を見た光景は既に去年の十二月末

前十字靭帯断裂完治せず出会いの冬に才覚の花

いつまでも曇りが残るサングラス 安いレンズを丁寧に拭く

呼び起こす今年の記憶 よく触れた柊の葉に出来た赤い実

競争を恐れるようになったのでチルアウト、いつもよりも淡く

親友に宿りし生命(いのち) 小雪にスノーデイジー、子宮を蹴って

「この街が好き」というフレーズが好き 街路は青い光を浴びて

三時間かけて出向かう福知山にある店で食す「京都ラーメン」

修行の身 黒子に徹する習慣にゼロの気配 つま先で歩く

リップ・ヴァン・ウィンクル 君のスピードに重ねてできたズレを愛して

左目に浮かぶ涙が止まらない ここにも居場所無いね、狭いね

この星にいないあなたを呼び起こす 揺れる満月 ワイヤーブーツ

CO2が増えた吐息可視化する 浮かぶ獅子は尾を振って

あなたにはゆめがあるよね わたしにはなにがあるのかみつからなくて

生み続けては八十八のエピソード 「星々」というあなた達

凍空に気温体温下がる中 ピッと押されたコーンポタージュ

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