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ライター・イン・レジデンスに参加した日本人作家たち

先日ライター・イン・レジデンスに関する記事を投稿したついでに検索したら、こんな記事を見つけてしまった。

アイオワ大学創作学科・国際創作プログラム(IWP) に参加した柴崎友香さんと瀧口悠生さんの対談だ。

僕がレジデンスに関してリサーチしていたのは2013〜14年頃。なんとか参加したくてかなり突っ込んで調べていたのだが、まったく理解されなかった。
こちらは「作家/ライターを助成してくれる制度なのだから、みんな使った方が面白いじゃないか」と考えたのだが、周囲の反応は「ずいぶんマイナーなことに興味があるんだね。もの好きだな。まぁ頑張れよ」というまったくの他人事だった。ライターだったらチャンスはあるはずなのだが。

しかしようやく時代が追いついてきたようなので、ため込んだデータや資料を少しずつお蔵出ししていこうと思う。

ゼロベースの状態から個人で調べていたため、洩れている作家さんが絶対いる筈である。気がついたら教えていただけるとありがたい。

●アイオワ大学創作学科・国際創作プログラム(IWP) 

田村隆一、吉増剛造、白石かずこ、吉原幸子、中上健次、中上紀、平出隆、水村美苗、島田雅彦、野村喜和夫、吉田恭子、中島京子、谷崎由依、柴崎友香、滝口悠生

1967年開始の老舗プログラム。世界各国から小説家や詩人を招待し、アメリカの大学生活を味わいながらそれぞれ自分の仕事を続けてもらおう、という主旨。
これまでに千人以上の作家を百か国以上の国から迎えた。だがアメリカ国内での知名度は低い。海外での認知度は国による。
往復の旅費、大学所有のホテルでの滞在費、日々の生活費(1日20ドルまで)、書籍代を出してくれる。
期間は3ヶ月間。

▼島田雅彦が2004年のIWP参加中にギリシャ人作家Alexis Stamatisと行った朗読パフォーマンスの音源▼

●オーストラリア国立大学(ANU)

井上ひさし

#村上春樹

ハーバード大学(ボストン)
プリンストン大学(ニュージャージー)

#小林エリカ

2003年 カナダ・バンフセンターにアーティスト・イン・レジデンス(助成:国際交流基金)
2006年 エストニアEAA、フランスCAMACにアーティスト・イン・レジデンス(助成:野村国際文化財団)
2007年〜2008年 アジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在
*小林エリカ本人に確認(マネージャー的な人が返答してきたが)したところ「確かに何度かレジデンスに参加しているが、著作家ではなくアーチストとしてしか参加したことがない」とのこと。かなり特殊な例。

# 永井真理子

日本で一番ライター・イン・レジデンス経験が豊富な作家。日本在住だが帰国子女で英語でしか作品を執筆していない。東京・港区にあるアメリカの大学の文学部で教えている。
彼女には2013年6月3日にインタビューしているが、その後の活動はフォローしていない。

2012
- December 2012: A residency fellowship from Ventspils House (Latvia)
- November 4 - 25, 2012: A residency fellowship from Sangam House (India)
- Sept 25 - October 25: Residency at the Akademie Schloss Solitude (Germany)
- July 30 - August 26, 2012: A residency fellowship from Kimmel Harding Nelson Center for the Arts (Nebraska City, Nebraska)

2011
- September 2011 - November 2011: A fellowship at the Akademie Schloss Solitude (Stuttgart, Germany)

2010
- October 2010 - April 2011: a 7-month fellowship at the Akademie Schloss Solitude (Stuttgart, Germany)
- April - May 2010: a month long fellowship at Djerassi Resident Artists Program (Woodside, CA, USA)

2009
- December 2009: a two-week artist-in-residency at PEN-Flanders flat (Antwerp, Belgium)
- August 2009: a month long fellowship at the Yaddo (Saratoga Springs, NY)
-April - May 2009: a month-long fellowship at the Rockefeller Foundation Bellagio Center (Lake Como, Italy) ロックフェラーセンター主催のベラジオセンター(北イタリア)

2008
- November 2008: a month-long fellowship at the Hawthornden International Writers Retreat (Edinburgh, UK)
- October 2008: a month-long fellowship at Fundacion Valparaiso (Spain)
- August 2008: a month-long fellowship at Chateau de Lavigny (Lausanne, Switzerland)
- May 2008: a fellowship from Elizabeth Kostova Foundation (Sozopol, Bulgaria)

2007
- October/November 2007: a six-week fellowship from Headlands Center for the Arts (Sausalito, CA)
- August/September 2007: a six-week fellowship from the Civitella Ranieri Foundation (Italy)
- UNESCO-Aschberg Bursaries for the Arts Laureatship (2007)

Before 2006
Hedgebrook Foundation; ヘッジブロック(シアトルの沖にある島)
Chateau la Napoule;
Ledig House/Art Omi; (NYC)
the Remarkque Fellowship;
Tasmanian International Writers Retreat;

#多和田葉子

writer-in-residence in the Department of Foreign Languages and Literatures at the Massachusetts Institute of Technology in 1999.
Tawada's visit was co-sponsored by the Stanford Institute for Creativity and the Arts (SICA) and the Stanford Humanities Center.
*2016年9月20日に取材済み

#Sally Ito(カナダの日系人)

SALLY ITO was born in Taber, Alberta in 1964 and grew up mostly in Edmonton and the Northwest Territories.

fall 2012 writer-in-residence at Centre for Creative Writing and Oral Culture (CCWOC).

#野村喜和夫

2003年 Château de Lavigny International Writers’ Residence=「作家の家」(スイススイスのローザンヌ近郊)
2005年 アイオワ大学創作学科・国際創作プログラム
*2013年10月23日に取材済み。

#吉田恭子

2005年 アイオワ大学創作学科・国際創作プログラム
2007年 ブラウン大学
*2013年10月23日に取材済み。
*僕のレジデンスの知識は吉田さんに教えていただいたものがベースになっています。

#関口涼子

2013年 ヴィラ・メディチ(1663年、ルイ14世によって創設されたローマ賞の後継助成制度)
メディチ家の屋敷跡でレジデンスできるという何とも贅沢なプログラム。期間は1年間。
*このページのトップ画像はウィキペディアから拝借したヴィラ・メディチの庭。

#川崎昌平

2009年 寿オルタナティブ・ネットワーク(横浜) 
アーチスト・イン・レジデンスに小説家として参加。「寿にて」という小説を上梓。
*2014年4月5日実施の「ライター・イン・レジデンス報告会」にゲスト出演していただいています。

#山本梢

2014.04.23-05.12 maumauライター・イン・レジデンス・プログラムに参加(トルコ、イスタンブール)
*2015年4月25日にインタビュー済み

#松田青子

2017年 イギリス東部のノリッジ@ ライターズ・センター・ノリッジ
イギリス東部のノリッジにある大学の大学院で文芸翻訳を学んだ。ノリッジはけして大きな町ではないが、作家や詩人や翻訳家が暮らしていたり、文芸フェスがあったり、たくさんのパブで朗読会やワークショップが行われていたりして、とにかく文学の盛んな町だったという。

●尾道ライター・イン・レジデンス

2018年にはじまったプログラム。尾道市東土堂町のゲストハウス「みはらし亭」に1週間泊まり込む。運営はNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」。
僕自身が2020年に参加してしまったので、参加者名は省略。

備考 #墨東日記

墨田区で2017年に1度だけ行われたレジデンス・プロジェクト。
正確には「ライター・イン・レジデンス」ではなく、「ブロガー・イン・レジデンス」なのだが、主催者も参加者もそのあたりのことが分かっておらず、「ライター・イン・レジデンス」と呼称し公器をつかって拡散してしまった。
参加したのは「冷凍都市生活協同組合」というユニット。
https://www.facebook.com/bokutonikki/

メモ

ライター・イン・レジデンスはドイツ語だとStadtschreiberというそうだ。直訳すると「町の書き手」。 別名Aufenthaltsstipendium(滞在奨学金)。
フランス語は英語の直訳で'Écrivain en résidencé。
中国語では見つからなかったが、アーチスト・イン・レジデンスは「藝術家進駐」。

参考資料

・水村美苗『日本語が滅びるとき』第1章(筑摩書房)
・「美術手帳」1998年3月号-レジデンス特集号
・村上春樹「ドーナツ」(『村上ラヂオ』マガジンハウス 2001年に収録)
・サムワンズガーデン・監修 「世界の、アーティスト・イン・レジデンスから」(ビー・エヌ・エヌ新社)
・「アーティスト・イン・レジデンスAIR研究会報告書 (’93-’95) 」アーティスト・イン・レジデンス研究会
・水声通信 -Web Version-
http://www.suiseisha.net/tsushin/vol02/nomura01.html
・白水社 :連載・エッセイ 「メディチ家の館に住んで」関口涼子
https://www.hakusuisha.co.jp/essay/medici.html (リンク切れ)
・多和田葉子さんインタビュー ビルドゥングスロマンとしての〈ライター・イン・レジデンス〉
https://magazine-k.jp/2017/01/26/tawada-yoko-interview/
・アイオワ日記 谷崎由依
http://creativewriting.jp/iowa.html
・谷崎由依「言葉のあいだに暮らして」(『新潮』2013年11月号)
・柴崎友香×滝口悠生「作家が街に滞在するということ」
https://kangaeruhito.jp/interviewcat/shibasaki_takiguchi

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