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ブックライターになりたい その2

以下の記事のつづきである。

前回の記事の末尾で「上阪徹ブックライター塾」に申し込むかどうか迷っていると書いた。

結論から言うと、申込みは見送ることにした。
理由は以下の通りである。

・上阪塾の受講生の感想を読むと「長文の書き方が分かった」的なものが多い気がするが、個人的にそこは必要ない。僕のデビュー作は50万字弱の大作で、長い文章を書くことは苦にならない。

・上阪さんが「ウェブの記事などに掲載する普通のインタビュー」と「ブックライティング」のテクニック上の違いをどう考えており、その部分に関してどの程度時間をかけて教えてくれるのか見えてこない。

インタビューは(多くの場合)インタビュー形式で書き、ブックライティングの場合は一人称で書き下ろすスタイルが殆どだ。形式の違い以上に、必要とされるテクニックやスキルに大きな違いがあると考えられる。その部分をきちんと教えてくれるのか?

・ブックライティングが通常の本の執筆と異なる点は、他人の原稿を代筆するという点にある。「1冊の本を仕上げるための情報」を確実に聞き取り、それを文字に落とし込む上でのノウハウ的な部分。それから代筆ゆえのトラブルシュート的な部分。そこにどの程度時間を割いているのか、まったく書かれていない。本来であれば、ブックライティングの教室は講義形式ではなく、ワークショップ形式で行うべきだと思う。

・これは上阪さんの問題というより受講生側の問題だといえそうだが、この講座を受けてブックライティングの仕事を継続的に受けている人がどの位いるのか、イメージ出来ない。公式サイトにも書かれてもいない。おそらく殆どいないのではないか?

・率直に言ってしまうと、本を書くことを学ぶためには、実際に1冊書かない限り勉強にならないと思う。しかしこの講座ではそこまでいかないと思われる。それなりのボリュームの課題は出るのだろうが、やはり1冊書かない限り中途半端な内容にならざるを得ない。

上記の話を受けて書くと、足りない部分は、他の参加者の成果物と見比べることで埋めていくという形になるのだろう。つまり上阪さんが教えてくれることよりも、他の受講者との切磋琢磨の部分の方が価値があるのではないか。僕にはそう感じられた。

だから受講するなら「上阪さんの講義」に、というよりも塾という「場」にお金を払うつもりでいた。しかし結局辞退することにした。

というのは本気で動いてみたところ、立て続けにブックライティングの仕事が取れてしまったからだ。note に書いた宣言が形になったわけだ。こうなった以上自分を信じてやっていくしかない。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

【追記1】

2023年1月現在、ブックライティングを担当した2冊の本が発売されている。

【追記2】

1冊の本を仕上げる上でのトラブルシュート的な部分に関して、いくつか疑問を投げたところ「ブックライティングでライターデビューした」という創稿舎の平藤清刀(ひらふじきよと)さんから、以下のような実践的回答をいただいた。

Q)著者と版元の方向性が対立した場合、ライターはどう動けばいいのか?
⇒ 動きません。著者と版元との間で問題が解決するまで待ちます。

Q)著者が忙しくてインタビューの時間が十分に取れない場合、どうすればいいのか?
⇒ 既出の情報や文献をなるべくたくさん用意してもらって、インタビューの不足分を補うしかありません。原稿をチェックしてもらうときにあれこれ指摘が出てきますから、そのときに修正します。

Q)(過去にテストライティングで落ちた案件ですが)インタビューした上で小説風に架空のキャラクターを創作して書かねばならないという案件があった場合、上手く構成するコツは?
⇒ 著者にイメージを語ってもらい、編集者と相談しながらつくっていきます。どんな案件にも共通していえることですが、自分一人で抱えこまないようにしてください。

*著者や編集者との相談なしで、ライターにキャラ造形やストーリー構成をやらせて「それがテストだ!」という出版社は信用してはいけない、ということなのかもしれません

Q)取材〜執筆〜納品〜リリース〜入金までの間隔が長いのが本の出版ですが、契約関係のtipsは?
⇒ ギャラの半額を前払いしてもらえば、ずいぶん楽になるはずです。また下請け法では、納品から60日以内の支払いを定めています。それをストレートにいうと喧嘩になるので、遠回しに突っつきます。

さらにおまけ。
こんな記事を見つけた。

この記事の後半にも書かれている通り、本を書いた場合、入金が遅く手持ち資金がないと地獄を見る。そんな体験談がこちら。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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