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オーディオ素人のハイエンド(最高位)オーディオフェア体験記♬今回の紹介アルバムは竹内まりや「VARIETY」

こんにちは。やんそんさんです。

みなさん、音楽はどんなシステムで楽しんでいますか?
スマートフォンがあれば、イヤホンやBluetoothスピーカーで、いつでもどこでも簡単・気軽に音楽を楽しめるデジタルな現在。

しかし、それだけでは満足しない人々がいます。オーディオマニアです。

「ライブ会場で聴いているような音が欲しい」
「ヴァイオリンの弦の擦れる振動を感じられるような音が聴きたい」等々、
音楽の好み、要望も様々ですが、音楽を愛するあまり、自分好みの音、リアルな音、より良い音の再現を追求する人々です。

より良い音の再現に欠かせないのが、アンプ・CDプレーヤー・レコードプレーヤー・ネットワークプレーヤー・スピーカー等のオーディオ機器。
ブランドも金額も様々で、家一軒建つくらいのお金を注ぎ込むマニアもいるとか。

オーディオマニアの有名人といえば・・・

オーディオマニアの有名人といえば、まず村上春樹氏でしょう。
「書物と音楽は、僕の人生における二つの重要なキーになった」(村上春樹著/「意味がなければスイングはない」より引用)と著書にも書かれているほど、音楽を愛している村上氏。

小説家デビュー前は、JAZZ喫茶を営んでいたことからも、オーディオに精通されていることが覗えます。
「世界のムラカミ」の自宅オーディオシステムはどのようなものか。
オーディオマニアは知りたくてたまりません。

そんなマニアが知りたい村上氏の自宅オーディオシステムが、以前、雑誌「Casa BRUTUS」や「SWITCH」で紹介されていました。

クラッシック音楽を聴くときはタンノイ※のスピーカーにアキュフェーズ※のアンプ。JAZZはJBL※のスピーカーで・・・と、村上氏ならではのこだわりあふれるシステム。音楽のジャンルによってスピーカーを2種類設置、どちらもオーディオマニア憧れのブランド。さすが「世界のムラカミ」。グレートなシステムです。

※タンノイ・・・イギリスの老舗スピーカーブランド。日本でも著名人の愛好家が多い。
※アキュフェーズ・・・日本のオーディオ機器メーカー。全製品横浜本社工場生産。高品質で信頼性高。
※JBL・・・オーディオマニア以外も知っているアメリカの有名ブランド。JAZZファンを虜にするJBLサウンドは、スマートスピーカー分野でも人気。


続いてのオーディオマニアの有名人は、タモリこと森田一義氏、通称タモさんです。自身もトランペットを演奏するJAZZ愛好家。

自宅の地下室に「いいとも」のギャラを注ぎこんだ、こだわりのオーディオシステムがある、とネット上でまことしやかに囁かれています。

現在も続く長寿番組「タモリ俱楽部」では、オーディオマニア、タモさんのために「マニアック」なオーディオ特集が不定期にあります。

その中でも、インパクト大だったのがクリアな音を実現するために
「自宅敷地内にマイ電柱を建てた」マニアを紹介した回でした。

その方曰く、スピーカーから聞こえる音の中に、蛍光灯や家電製品が発するノイズがあるとか。
自宅の敷地内にオーディオ電源用のマイ電柱を建立、純度の高い電源を直接取ることにより、ノイズを排除、よりクリアな音が実現するそうな。
さすがタモさん、その違いがわかり「こんなクリアな音を聞いたことはない」と感心しきり。「ここまでする?」のは、マニアだからこそです。

もうひとつ、記憶に残っているのは、タモさんとコブクロの2人でオーディオショップに赴き、何千万円もするオーディオシステムを視聴する回。
総額何千万円の音に、「すごいね!」「目の前で演奏しているよう!」タモさんとコブクロの2人は、と感嘆の声を上げます。

TVの画面超しに羨望の眼差しで見つめていた私は、「何千万円の音ったって、TVじゃ違いがわからないよ!」と寂しく思ったものでした。

そもそも何千万円もするスピーカーやオーディオシステムを視聴する機会もありません・・・いやいや、ありました。何百万、何千万円の音を聴ける機会が。それは「ハイエンドオーディオフェア」!

「ハイエンドオーディオフェア」とはその名の通り、オーディオブランドのハイエンド(最高位)機器の展示会。
オーディオマニア垂涎の機器が勢ぞろい、購入検討のオーディオ機器を各ブランドことに試聴できるというイベントです。

また、我々一般庶民の音楽ファンにとっては、別世界にあるハイエンドなオーディオシステムの音を、自宅では絶対に聴くことのできない臨場感あふれる大音量で試聴できる素晴らしい機会。タモさん・コブクロの2人と同じ体験ができるのです。

ハイエンドオーディオフェアに行ってきました

2022年3月某日。お天気は曇り。
国際会議も開催される地方都市のイベント会場のワンフロアが「ハイエンドオーディオフェア」特設会場。夫(ちょっとオーディオマニア)とともに昨年に続き2回目の来場です。

来場者は、40代後半~70代の男性ひとり客が中心。夫婦で来場もちらほら。

東京や大阪の会場であれば、「ハイエンド」にふさわしい装いの方々が、そこかしこでセレブオーラを放っているのでしょうが、地方都市のオーディオマニアの人々は、地味に会場のあちこちに点在。

夫が受付をしている間、入場証を首にかけて待っていると、ライブハウスから聴こえてくるような音とともに、聴き覚えのあるトランペットの音色。
半分当てずっぽうで、夫に「マイルス?」と聴くと、「多分」と答えが。
音の出所のブースへ向かいます。

試聴時間中のブース内は、臨場感あふれる音が流れ、まるでJAZZのライブハウスにいるよう。
ブース内に用意された椅子は20席前後。ソーシャルディスタンスなのか、隣席と50㎝ほど空いた間隔で設置されています。私たちも空いている椅子に座り、試聴。現在試聴中らしきアルバムのジャケットには、JAZZの巨人マイルス・デイビスの顔。当たりです。ちょっと嬉しい。

マイルスの曲は途中でフェードアウト、JAZZの次はクラシック音楽。同じシステムでムソルグスキー「展覧会の絵」の「バーバヤーガの小屋」と「キエフの大門」を試聴です。
大変な事態になっているキエフ(キーウ)に思いを馳せながら、大音量の中に身を置きます。オーディオフェアでの試聴は耳で聴く、というよりも、音の空気振動を全身で聴く、という感じです。

「マイルスは素晴らしかったけれど、展覧会の絵はフォルテシモになると音が割れていたね」と、偉そうに夫に感想を伝えつつ、次のブースへと移動。

オーディオフェア会場内とマニアの様子

ブースは全10室。それぞれが個室になっており、広さは40〜100m2といったところでしょうか。
ブースのドアを開くと、入口正面、センターはブランド「推し」のスピーカー・機器が設置、左右にもセンターにはなれなかったけれど、ブランド自慢の機器が並んでいます。

ブース入場後、まずマニアは、音を出さない機器をじっと眺めます。スピーカーやアンプ、ディスクプレーヤー等々、機器を凝視。
かくいう私も、音の出ていないオーディオ機器を見つめます。音の出ていない機器を見つめるだけなんて、知識が無いから、暇つぶしにみているだけなのか?いえいえ、それは違います。

オーディオ機器外観の造形美を味わっているのです。
機器のフォルム・材質・仕上げ、アナログメーターやデジタルメーターのライトの色、スピーカーの形状、仕上げの突板の木目の美しさ・・・
あげればきりがないほど、値段と比例して、外観もこだわりまくっているのです。さすがハイエンド。

一通り機器を凝視、タイミングが良ければ、試聴時間が始まります。
用意された椅子(15~20席前後)に座り、ブランド担当者の説明を聞いた後、防音設備のついていない一般の家では、聴くことのできない大音量で様々な音楽を試聴します。

試聴の際は、みなさん微動だにせず。音に集中しているからでしょうか。
お行儀よく座り続けて、疲れることはないのか、不思議に思います。
アップテンポのJAZZが流れても、足でテンポをとる人がたまにいるくらい。同じ姿勢で5分もいられない私は、試聴の邪魔にならない程度に、足を組みなおしたり、音を立てないよう、おしりを椅子から離したりと、ちょこちょこ姿勢を変えて音楽が終わるのを待ちます。

ちょっと退屈になってくると、このお行儀のよいみなさんが自宅でどのような環境で聴いているのか、妄想モードに突入。

2列前に座っている、65歳くらいの定年後の嘱託勤務も終わっていそうなお父さんは、どのようなオーディオシステムを持っているのか。
やはりハイエンド機器を揃えているのか、聴いているのはクラッシック?JAZZ?世代的に考えるともしかしてハードロックとか・・・いやマニアはやはりプログレか。奥さんに「うるさい」と文句言われて渋々ボリュームを絞ったりしているのか・・・と音に集中どころか、他人の生活を勝手に妄想して楽しみます。

試聴時間が終わると殆どの人は次のブースへと移動。お目当ての機器がある人は、ブランド担当者にさらに詳細な説明を受けます。
お値段についてはフェアの主催者であるオーディオショップの担当者との商談となります。

お目当てのブランド 其の一

実は私たちには、今回のオーディオフェアで「聴いてみたい、見てみたい」お目当てのブランドが2つありました。
1つ目は「TAD」“Technical Audio Devices”(テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ)です。日本のブランドです。

NHK音楽番組「SONGS」の、大泉洋の背後に鎮座するどでかいスピーカー、ちょっと気になりませんか?
「あれは多分「TAD」のスピーカーだ。かっこいい。あれが欲しい。」と夫が呟きます。TADといえば、オーディオ雑誌のスピーカームック本に出ていた「100万円以上」の価格帯に出ていたハイエンドブランド。

夫も本気で欲しいとは思っておりません。「うちの車がポルシェだったらいいな」と同じくらい実現不可能な戯言です。でも、聴いてみたい、見てみたい。触ってみたい。それではオーディオフェアで試聴体験をしようではないか。

・・・ということで「TAD」のブースへ。
ありました!が、展示されているのは「SONGS」のスピーカーの半分サイズ。
視聴時間ではないため、BGM程度の程よいボリュームでスピーカーから音楽が流れています。エレガントで立体感が感じられる心地良い音です。

当然の如く、まず機器やスピーカーを凝視。スピーカの側面は艶々の塗装が施され、美しい木目。
スピーカーに魅入る私たちにTAD担当さんが説明。

「このスピーカーは最上級の楽器や家具に使われている、ポメラサペリという木を使っています。エンクロージャー(スピーカーの箱部分)は、天童木工さんが制作しています。何十工程もある作業を、全て熟練の職人さんが行っています。天童木工さんは、建築家の丹下健三さんやデザイナーの柳宗理さんの作品も制作されている、日本を代表する高級家具メーカーです。」
ほうほう、それはすごそう。「ほほおー」と深くうなずきます。

「NHKの「SONGS」のスピーカーはTADのスピーカーですよね?」と聴いたところ、「そうです。こちらのスピーカーは「SONGS」のスピーカーのコンパクトサイズとなります。」と担当さん。コンパクトとは名ばかり、日本の住宅に置くには、少々大きい。

「弊社はプロ用のスピーカーを製造しておりまして、NHKには以前より、スタジオ用のスピーカーを納めておりました。
「SONGS」のセットでは「日本の本物」を使いたい、というコンセプトがあり、弊社にオファーがあったようです。」と控えめながらも「日本の本物」という言葉に自信と誇りが感じられました。

また、展示されているアンプとディスクプレーヤーは正面が中央に向かって角度が付いており、上から見ると正面部分だけがひし形の形状をしている変わったデザイン。
「このデザインは日本の伝統的な模様であるひし形をモチーフにしています。こちらも「SONGS」のセットに納めてあります。」

なるほど、音だけでなく、日本の木工技術や伝統美を大切にするモノづくりの姿勢が、NHKからオファーが来た理由だった、と納得です。

その「SONGS」のオーディオシステムのお値段ですが(全て税込)、
スピーカー:REFERENCE ONE  ¥13,200,000/ペア
プリメインアンプ:TAD-C600  ¥ 4,180,000
ディスクプレーヤー:TAD-D600 ¥ 3,850,000
合計金額           ¥21,230,000!家一軒建ちます!

この金額のオーディオシステムを購入する人々がいるから、機器は日々生産されているんですよね・・・ため息です。

お目当てのブランド 其の二

そして、もうひとつお目当てのブランドがTechnics(テクニクス)。
パナソニックのオーディオブランドです。こちらは購入検討案件です。
私たちが視聴したいのは、定価110,000円(税込)のレコードプレーヤー。
110,000円という金額に、我が家では購入の是非を夫婦で討論中ですが、他のブランドが何百万円もするレコードプレーヤーを展示している中、何とも庶民的なお値段に思えてきます。

試聴に用意されているシステムのスピーカーはペアで596,000円(税込)。アンプを入れると総額約100万円くらいのシステムでしょうか。他のブランドと比べると現実的なシステムです。

レコードプレーヤーのターンテーブルには、竹内まりやの「プラスチック・ラブ」。昨今のシティ・ポップのアイコン・ナンバーになっている名曲です。耳慣れた曲で試聴できるのは嬉しい。
家で聴くことのできる現実的な音量に合わせてもらい、試聴。

切れのよいサウンドがスピーカーから流れてきます。我が家のプレーヤーから聴こえてくる音と比較すると、明瞭ではっきりとした音です。
もう1台、定価363,000円(税込)のプレーヤーで試聴。さらに明瞭度UP。

音の違いを視力に例えてみましょう。
我が家のプレーヤーが0.5ぐらいの少し視界がぼやけた感じとするならば、110,000円のプレーヤーは、全体がはっきりと見える1.0、363,000円は細かい部分もはっきりくっきり見える1.5、といった感じです。お値段の違いは音に比例することを痛感。
何百万円のプレーヤーになると、マサイ族並みの視力になるのでしょうか?マサイ族は20メートル先から単行本の文字が見えるそう。
恐ろしや、ハイエンドの世界。ため息です。

中高年要注意!ホームシアターブース

夢いっぱい、ため息いっぱいのオーディオフェアの最後は、ホームシアターのブースで締めくくります。

ミニシアターと見間違うほどの大きなスクリーンでは007らしき映画が上映されています。迫力あるサラウンドシステムは、まさに映画館。

映画のストーリーは進行、とても静かなシーンで、ジェームズ・ボンドが、手紙か何かを手にしたときだったか・・・突然の爆発音!
私の心臓はビックリ!血圧急上昇180/120(推測)!心拍数140越え(推測)!
ハイエンドオーディオフェアの来場者は中高年が中心。日々血圧や脈拍を気にしつつ生活する人も。ビックリして心臓発作でも起こしたら一大事です。迫力も大切ですが、安心して映像も音楽も音響も楽しめる映画を選択して欲しい、と思ったのでした。

オーディオフェアの来場者の大半は50〜70代。少年少女の頃から音楽に魅せられ、音楽とともに人生を生きてきた人々です。
老眼鏡をずらしつつ、オーディオ機器に熱い眼差しを送り、微動だにせず音に聴き入るその姿はどこから見ても中高年。しかし心は、新しい音との出会いに、瞳は輝き、胸は高鳴り、少年少女の頃と変わらず、ピュアなまま。

会場にいた時間は、音楽を愛する同朋の方々と、同じ空間で同じ音を楽しみ、同じ音楽を共有できる、幸せな時間となりました。
主催のオーディオショップさん、ありがとう。来年もよろしくお願いします。

ハイエンドオーディオフェアの余韻をひきずったまま、家に帰宅後、入浴。

何千万円を堪能した後は、3000円以下を楽しみます

私の毎日の楽しみはお風呂で音楽を聴くこと。
お風呂で愛用の防水スピーカーは、村上春樹氏も愛聴のJBLブランド。
ネットで購入したBluetoothスピーカーは、税込3000円以下でした。
音楽が流れると、お風呂はエコーが自慢のリスニングルームと化します。

フェアで聴いた「プラスチック・ラブ」を竹内まりやと一緒に熱唱。
気分は上々、「音楽は楽しく聴ければよし、機器にこだわり不要!」と思いつつ、視力1.0と1.5のレコードプレーヤーの音を思い出し、
「1.5なら、車の買い替えは次の次の車検の後かなぁ、いや・・・あの値段は我が家にありえない」と頭のなかで算盤を弾き、試行錯誤するのでした。

🎹  🎹  🎹

今回の紹介アルバムは、竹内まりや『VARIETY』

さて、今回紹介するのは、竹内まりや『VARIETY』。「プラスチック・ラブ」収録のアルバムです。
我が家にある現物は1993年頃、中古レコード店で100円で購入。
ジャケットは茶色のシミだらけでしたが、レコード盤自体はきれい。
現在も我が家のレコード棚にあります。

現物写真。ジャケットはボロボロですが、レコード盤はきれい。
レコードはジャケットそのものがアートでした。カラフルでキュートなまりやがいっぱい。
シミだらけなのもレトロ感UP?

🌸Spotifyのプレイリストを貼付けました。パソコンやスマホにSpotifyを入れて聴いて下さい。AmazonMusicでも全曲聴けます。

『VARIETY』は1984年に発売された、竹内まりや通算6枚目のアルバム。
結婚と合わせて音楽活動を休止した後の、本格復帰作。
全曲「作詞・作曲:竹内まりや、アレンジ&プロデュース:山下達郎」の夫婦共作の名盤です。(ちなみに山下氏もオーディオマニアで有名)
参加ミュージシャンも坂本龍一・大貫妙子をはじめとする、豪華メンバー。

『VARIETY』のタイトル通り、歌謡曲・カントリー・ロック・ボサノバ・AOR・60’s等の多種多様な曲調で、一夜限りの恋に思いを馳せたり、恋人のためにセーターを編んだりと、歌の主人公のパーソナルも様々。
どの曲も「まりやオブラート」に包まれて、おいしい歌のスイーツと化します。

今回UPしたのは「Variety 30th Anniversary Edition」。12曲目「赤のエナメル」 以降はボーナストラック。
13曲目のプラスティック・ラブ (12” Extended Club Mix)は、昭和のディスコやクラブで流れていた何とも懐かしいサウンドです。

私よりも下の世代のみなさんにも「聴いたことがあるようなどこか懐かしい」ジャパニーズ・オールディーズとして、楽しんでほしいアルバムです。

みなさんも、お風呂でリビングでキッチンで『VARIETY』、まりやと一緒に歌いましょう!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。また会いましょう。
やんそんさんでした。


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