見出し画像

最近観た劇場公開・配信映画(2021年10月)

こんばんは。もう年末に向かって11月もどんどん進んでいますが、2021年10月に劇場公開または配信された映画を観た感想です。

007/ノータイム・トゥ・ダイ(劇場公開)

画像1

いわずと知れた007シリーズの最新作。公開が延期に延期を重ねていただけあって、絶景での車やバイクを使ったド派手なアクション、常連メンバーに加えて魅力的な新キャラも登場する前半のテンポの良い展開に、007シリーズの新作をまた映画館で観られているという喜びに浸る。

ただ、、、、そこまでは最高だったけど、後半は幕引きに向けて強引に話が進んで行く感があり、「えっ、そうする必要ある?」とか「そこは敵も意外とユルいな」とか、色々と気になってしまい、本来ならば感動のクライマックスになるはずのラストに感情が追いつかなかった。。。とはいえ、全体としてはこれぞ大作映画という風格があって大満足。

SNSでアナデ・ア・ルマスの登場シーンに対する絶賛コメントが圧倒的に多くて、確かに楽しかったけど、あそこまで言われると逆に褒めたくなくなる(笑)。ストーリーとそんなに関係無い部分だし、あそこばかりがフォーカスされるのは映画としてはどうなんだろうかと思ったり。日本のおじさんとかはドンピシャで好きな感じなのもわかるが。

画像2

画像3

画像4

MINAMATA(劇場公開)

画像5

水俣病の存在を世界に知らしめたアメリカの写真家ユージン・スミスの実話を基にした映画。

ジョニー・デップ演じるユージンが、過去にデップが度々演じてきたような酒浸りで冗談好きな、いわゆる「正義の人」的な人物ではないことで、逆に彼が何に突き動かされて写真を撮ったが伝わって来るのが良い。

映画の中で、ユージンとアイリーン(美波)の関係性の描かれ方に「その映画的な演出は要らなくない?」と思ってモヤモヤしていたのだけど、パンフを読んだらそれは思いっきり事実の部分で、そのことがユージンの行動へ大きな影響を与えていたとわかり、現実とは不思議なものだと思う。そして、歴史的に意義があるとされるような出来事も色々な人間の気まぐれな意志やl行動がたまたま重なった結果だったりするのだろうというリアルを感じた。

画像6

画像7

DUNE/砂の惑星(劇場公開)

画像8

フランク・ハーバートによる伝説的なSF小説をドニー・ヴィルヌーヴ監督が映画化。

見たことのない景色、生物、物質、ガジェット、慣習がしっかりと説得力を持って存在しており、ここではない異世界を体験するというSF映画の喜びに満ちてる。人によっては説明不足と感じられるかもしれないが、私は寧ろそこにこそ遠い異世界を感じる。さらに、不恰好とも思える宇宙船(監督の過去作『メッセージ』の宇宙船、通称『ばかうけ』に通じる)は、この世界が現代の延長線上の技術をベースにしていない異世界であることを観るものに印象付ける。主役のティモシー・シャラメのどこか現実離れしたような美し過ぎる顔立ちもその一端を担っている。『スターウォーズ』の第一作目を何も知らずに初めて観た人はこんな感覚を味わったのではないだろうか(『スターウォーズ』が『DUNE』の小説や実現しなかったホドロフスキー版の世界観に影響されたものであるけど)。IMAXのような大画面を活かした映像やハンス・ジマーによる音響の効果が没流感を加速させる。

映画前半でゆっくり時間を掛けてこの世界について説明(それも最小限で語り過ぎない)してからの後半の冒険活劇的な展開に一気に惹き込まれた。エンドロールの際には既に第二部が楽しみで仕方がなくなっている。

画像9

画像10

画像11

画像12

この世界のことをもっと知りたくなってアートブックも購入した。

空白(劇場公開)

画像18

万引き未遂の女子中学生が逃走中に車に轢かれて亡くなり、錯綜する関係者を巡る物語。

事件をきっかけに巻き起こる関係者やマスコミ、一般市民の行動に、現代の社会の最悪な部分を突き付けられるようで息が苦しくなる。

そこに救いを与えるのも人間であるが、取り戻せない喪失から始まっているため、決して安易なドラマ的決着に終わるのではなく、観るものに問題意識が残る構成が見事。

特に印象に残ったのは寺島しのぶ演じるスーパーの従業員。人間の尊厳というものが、実はとても不安定な板の上に成り立っているという非情さ。少し変わったキャラクターかもしれないが(とはいえ見覚えがある)、このことは自分も含めて誰にでも当てはまる部分があるはず。今、上手くいっていると思っていても、ちょっとしたことでそれは崩れる可能性があるのだ。

画像19

画像20

最後の決闘裁判 (劇場公開)

画像13

巨匠リドリー・スコット監督が、14世紀、100年戦争真っ只中のフランスで、実際に行われた史上最後の決闘裁判を三者の視点から描く。

三者それぞれの語り口で三幕構成で語られる本作は、二幕目まではいわゆる歴史モノかと思わせながら、第三幕目で現代のフェミニズム的な視点で描くことを目的とした映画であることがわかる。

人がいかに自分の都合良く物事を解釈しているか、その差異が巧妙に描かれる構成は、サスペンスとしても最高に面白いのだが、映画のメッセージとして現在進行形のフェミニズム的な課題と繋がっていることに驚かせる。ネット上での、この映画についての様々な感想コメントが、まさに人は自分が観たいものだけを観るということを現す事態になっていることは皮肉である。

映画終盤に見せるジョディ・カマーの絶妙な表情が忘れられない。(ジョディ・カマーは『フリーガイ』に続き、素晴らしい作品に連続している。)

これは凄まじい作品だった。リドリー・スコット、83歳にして凄過ぎる。

画像14

画像15

画像16

ボクたちはみんな大人になれなかった(劇場公開,Netflix)

画像17

この作品は11月5日公開だけど、10月に一足早く先行上映を観たので。作家・燃え殻氏原作小説の映画化。原作小説が好きで、相当な思い入れがある作品なのでじっくりnoteに感想を書きました。

小説では、主人公と自分を重ねる部分が多かったけど、映画では周辺の登場人物がより細かく描かれていて、小説ではぼんやり感じ取ってた部分をより明確にメッセージとして受け取れた。小説も更に好きになった。

KATE(Netflixオリジナル)

画像21

東京を舞台にヤクザの抗争に巻き込まれる外国人暗殺者のアクション映画。

『ジョン・ウィック』組が絡んでいるということもあり、アクションこそ多少見応えあったものの、擦り尽くされた「ネオ東京」風と主人公の行動の動機が全く理解できないストーリー展開で、途中からどうでも良くなり二回に分けて何とか観終えた…

ただ、エンドロール観てたらボアダムスのYoshimi率いる「OOIOO」曲が使われていたと知ってアガった。他にも良く知らない日本の曲とかがたくさん掛かっているのはフレッシュ。

終わりに

10月は良い作品が多くて映画が心に占める割合が多い月だった気がする。といいつつ、既に11月に入ってMCU作品の『エターナル』を観たばかりで、今の頭の中は『エターナル』一色。マジで観たい映画が多くて追いつかない(嬉しい悲鳴)。Apple TVのドラマ『ザ・モーニングショー SEASON2』も面白すぎるし、『KATE』観てる場合じゃなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?