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「色のふしぎ」と不思議な社会(2023年5月25日あり得ない色見える追記)

#読書の秋2022 #「色のふしぎ」と不思議な社会 #わたしの本棚

はじめに

私の脳が物理世界を理解する手段は、私の体にある視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚をはじめ、痛覚や温度の刺激だけである。

本書はこのうち視覚に焦点を当てる。
著者があみ出したさまざまな試験により、視覚一つとっても、ひとり一人が実に多彩な感じ方をしていることがわかってくる。

同じ「赤色」が、私の脳で再現される[赤」、あなたの脳で再現される「赤」と同じ保障はないが、これを実験で確認するのは非常に難しい。

一方、同一人物が「赤」と「薄い赤色」の区別ができるかどうかは比較的簡単に試験することができる。

実験の結果、区別できる色彩は百人百様なことがわかってくる。
ならば、「色弱」と「正常」の間に線引きなどできるのか?
本書は色弱と判定された著者の差別体験をふまえ、色盲検査の不合理を突く。

私の意見

視力検査

ここまで読むと、視力検査にも疑問が湧く。
私は乱視(線が二重に見えるのでー、=、≡の区別がつきにくい)なのでぼやけていないのに視力が低い。近視のぼやけた視力とは質が違う。なのにどちらも「0.6」などと判定される。
年齢を重ねると、暗闇に弱くなると聞く。ならば視力表の明るさも関係するだろう。
動体視力も相当な個人差があるだろう

聴力検査

聴力検査はもっといい加減だ。ヘッドフォンを装着し、高い音と低い音がどちらの耳から聞こえたか当たれば「正常」、外れれば「異常」

可聴周波数の上限と下限は?
小さい音はどこまで聞こえるの?
音の方向の分解能はどのくらい?
移動する音への追従性能は?
音程の分解能(絶対音感)は?
和音の聞き取り能力は?

何も測定されていないではないか!

味覚・嗅覚・触覚・痛覚・温覚

これらの感覚に至っては、健康診断項目から外れている。
きっと百人百様だろう

世界モデル

私たちは、全く異なる外部刺激をうけ、その外部刺激のみから脳内に物理世界のモデルを構築する。
もちろん、赤ん坊がするように、体を使って外部環境に働きかけ、その結果返ってきた刺激でモデルを修正する。

「脳は世界をどう見ているか」では、脳は同一構造の「コラム」の集合体で、外部刺激や脳内を巡る思考により、さまざまな「地図」を作成する。
地図には「体の部位の地図」「家の中の地図」から「抽象概念の相関地図」までさまざまなものが存在するが、地図ができてはじめて「理解できた」と感じることができる。

当然、脳内地図も百人百様だ。
すると、人間には他人の知覚を共有する「共感覚」が謎めいた存在に思えてくる。

植物は<未来>を知っているでは、植物の異星人ぶりが明らかになる。

百人百様の人間の間で感覚を共有する「共感覚」があるのなら、
「共感覚」を活かして植物と感覚を共有できる日が来るかもしれない

おわりに

こうみてくると、本書は「脳科学」と深く関わっていることがわかる。
本書は「意識とは何か」との問いにも関わってくる

(おまけ)

#色立体視

2023年2月13日

#ティッカーテープ共感覚

2023年2月9日

2023年4月4日著者の川端裕人先生からコメントツイートをいただきました

#音が見えるようになった

2023年5月20日

#あり得ない色が見える

2023年5月22日


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