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甘酸っぱくない恋の思い出

親友のOさんは多才で英語を話せて、ドラムが叩けて
天然だけど優しい雰囲気を持っていて
女の子と話をするのがうまかった。

アメリカに留学し数年間、仕事をしていた。
クラブハウスサンドを食べながら、スループレイで
毎週のようにゴルフをしてたという本場仕込の
ゴルフの腕前には到底敵わなかった。

一緒にゴルフ練習場に出かけ、2人で練習することもあったし、
可愛い女子を誘って練習することもあった。

テニスもOさんが客先にいる女子に誘われたことがきっかけで始めた。

ゴルフもテニスもOさんに教えてもらった。
どう考えても平均的な男性より運動スキルが低い自分と
付き合ってくれることがうれしかった。


◇◇◇


Oさんと一緒に仕事をするようになって
しばらく経った頃、職場にSさんという可愛い女の子がやってきた。
自分の意見をしっかり持っていて、疑問があったら
周りに尋ねて回る姿勢と屈託のない笑顔にとても好感を持った。

Sさんと一緒にテニスをしたり、ご飯を食べにいったり
行楽地にOさんの彼女も連れて行ったりした。

ゴルフに行った帰りの車の中やご飯を食べてる時などに
OさんにSさんの可愛さを力説することがとても楽しかった。


◇◇◇


Sさんと知り合ってしばらく経った頃、
社内の情報共有で使われていたメッセージソフトのログを
自分のPCから見る方法を知った。
ハッキングなんてもんじゃなくPCの基礎知識の問題。
セキュリティの向上した今のPCでは無理だけど。

仕事の合間にSさんのログを
見てはいけないと思いつつも見てしまった。




会話の内容はOさんとだった。

そこに書かれていたのは
自分を嘲笑する言葉と
2人で会った時の思い出、
今度会う約束。

あぁ、これは本当なのか?
信じたくなかった。
見るんじゃなかったと後悔した。


◇◇◇


家に帰ってSさんに電話をして、
開口一番
「ヒドイことをするな、あんまりだ」
と言った。
自分も泣いて、Sさんも泣いて謝ってくれた。

三日三晩泣いた。
連休で良かった。
飯が食べられないなんて自分の人生に
起こるわけがないと思ったが
あぁ、これは本当に食べられないやつだと思った。


泣いて泣いて・・・


もう泣くのはやめだ。
と思った。


元からモテない自分が何を望んでいたんだ?
嘲笑された?
自分はそういうことを普通にするよな。

怒る必要があるか?

ゆるそう。
いや、いろいろもらったんだ。
ゆるすもなにも自分の魅力がないことを
受け入れて、ふっきるべきなんだと思った。
何も始まる可能性はなかったし、2人は何も悪くない。


Oさんにはそう伝えた。

前の彼女とは少し前に別れていて、
Sさんからアプローチがあったと聞いた。

すぐには元通りにならなかったが、
Oさんはやっぱり天然でいいやつだった。
また一緒に遊びに行くようになった。

その後、2人は別れ、それぞれ別の人と結婚した。


Oさんとは今はあまり連絡を取っていないけど
またいつか一緒に遊びに行けたらいいなと思っている。


終わり




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