広島県人の見分け方

家の目の前にお好み焼き屋がある。

最初は「ワレ」「ぶち痛けえのぉ」「じゃけぇ」「おんどりゃぁ」なんて言ってくる怖い人がいるんじゃないかと思ってお店に入れなかった。

自分の広島県人のイメージは漫画のBADBOYSのヤンキーな世界だ。

お一人様歓迎の文字を入り口で見つけた。
入っていいんだよね？
そう思い、おそるおそる勇気を出して入ってみた。

菅原文太はいない。ちょっと安心する。

料理のメニューが手書きで字がうまい。
しかもお好み焼きだけじゃない。
そそられるメニューがそろっている。

テレビにはゴルフが映ってる。雑誌もゴルフばかり。
大きなしゃもじがあった。

うん、怖くない。

とりあえずメニューを頼んでみる。
お好み焼きとお酒のつまみになりそうなものを数品。

お酒、美味しい。つまみも美味しい。
ハズレがない。自分とのフィーリングが合うお店だ。

なんだもっと早くこればよかった。

◇◇◇

仲間にここで飲もうと提案した。
注文をするとき、広島県出身のＴさんに
「そばを入れて、イカ天を入れるのが広島のお好み焼きだ」
と教わった。
Tさんはほとんど志村けんなので怖くない。例外もあるということだ。

それから訪れるたびにイカ天入りのお好み焼きをオーダーするようになった。

◇◇◇

あるとき、店のおばちゃんに
「あんた、広島の人？」
と聞かれた。

「違うよｗイカ天を入れるのが広島流なんですよね？」
なんて話をした。

◇◇◇

お店にはごくたまに訪れる程度の自分。
また１年後ぐらいにお店のおばちゃんに
「あんた、広島の人？」
と聞かれた。

「違うよｗおばちゃん、その質問、聞かれるの２回目だよｗ」

違うな、自分がもう少し顔を出さなきゃ覚えてもらえないなと思った。

「自分がもう少し、お店に顔を出さなきゃだね！」

「ほんとごめんなさいね、私すぐに忘れちゃって！」
「もっと来てくれれば覚えられるのに」

「あはは・・」
「あははは・・」

◇◇◇

果たしてこりゃ、おばちゃんのテクニックなのか？

あがーでも、自分が広島県人かしてきたせいじゃろか？

３回目の質問をされんか、ひそかに期待しとる自分がおる。

#おいしいはたのしい