Notionで作成した電子書籍
先日の技術書展7のコピペテックブースで頒布した「Three.jsとTensorFlow.jsで作るモーションキャプチャ3Dゲーム」の電子書籍版には、タプレットに最適化したA5サイズのPDFに加えて、Notionで作成したWeb版がおまけの様に付いています。
サンプル(試し読み)版を公開してみたので興味があればぜひご覧ください。
Three.jsとTensorFlow.jsで作るモーションキャプチャ3Dゲーム(試し読み)
コピペテックは気になるテクノロジーをコピペもしくはそれに近い気軽さで試せるチュートリアルコンテンツなので、コピペのしにくいPDFを補完することがWeb版の目的になります。
技術書展6のときはNotionを知らなかったため、Dropbox Paperを利用したのですが、Bridgeの記事で知り気になっていたNotionを試したところ、Dropbox Paperよりもうまいこと仕上がりそうだったので、今回はNotionで作ってみました。
Notionについて
Notionは個人や組織の統合的なワークスペースになることを目指したツールで、メモ、Wiki、タスク管理、Webデータベースツールを混ぜ合わせたような内容になっています。
既存の各種ツールからのインポート手段も提供されていて、Evernoteなどの一部のツールについては、ボタンひとつで移行することもできます(移行元のツールやってできる範囲が異なるが)。
インポート手順を紹介しているツールはEvernote、Google Docs、Confluence、Trello、Asana、Quip、Dropbox Paper、HackPad(閉鎖)、Word、Excel、Workflowy、CSVといったところで、この辺りのツール群がNotionの競合なわけですね。
データベース機能の使い勝手をみていると、国内だとkintoneなどのWebデータベース関連のツールも競合になるし、SFA的な使い方もできることからSalesforceだって競合になり得ます。特にこれといったSFAを使っていなかった頃にNotionみたいのがあれば、とりあえずNotionで済ませてしまったかもしれない。
ちなみに自分の会社内ではQuipがSalesforceに買収される以前からQuipを利用しています。QuipはSalesforceに買収されたことによって、、いやまあ買収されなかったとしてもやらなかった気がしますが、データベースっぽいことはSalesforceに任せ、Salesforceと組み合わせて利用するコラボレーションツールとして強化が進んでいます。
Notionは情報や機能をすべて集約しようとしているが故に多くのツールたちと競合することになるわけで、比較的早く段階でSalesforceに買収されたQuipとNotionがそれぞれどんな展開を見せてくれるのかはちょっと楽しみなところ。
さて、Notionの細かい機能についてはnote上に個人利用用途でも法人利用用途でも驚くほどたくさん記事が投稿されています。
数だけでなく、それぞれの情報量がまた素晴らしく、Notionについて知りたければググるのではなくnote上で検索すれば良かったのかと思ったくらいですね。
というわけで、Notionの魅力については既にいっぱい触れられている記事があるのでお任せすることにして、電子書籍の話に戻ることにします。Notionすごいな。
Notionを利用した理由
今回、Notionを選んだ理由はこの3つだろうか。比較対象は前回の技術書典で利用したDropbox Paperですね。
❶ 見た目
❷ コードブロックの機能性
❸ 管理がしやすい
ちなみに、前回の技術書典6のタイミングではbox notes、Quip、Evernote、ScrapboxとDropbox Paperを比較してDropbox Paperに決めてます。
❶ 見た目
同人誌とは言え書籍として販売しているものなので、できるだけ美しくそれらしくしたい。前回Dropbox Paperを選んだのは機能面が中心だったのですが、今回Notionを選んだのは仕上がりがよりそれらしくできそうだったから。
ページにカバー画像やアイコンを配置できる同種のツールは知る限りではほかにないですし、目次代わりのリンク一覧も収まりがいい。
見た目なので、個人的な好みもあるとは思いますが、公開するにあたって「それらしく」見せるのはNotionの方がやりやすいと思います。
❷ コードブロックの機能性
コピペテックはコピペしながら楽しむコンテンツですので、コードブロックの機能性は高い方が良く、ソースコード自体も見やすければよりありがたい。今時のツールにはコードブロックは大体ついてはいるのですが、Notionのコードブロックはよくできています。
Notionの場合、コードブロックを配置する際に対象となる言語を選択することができ、選択した言語に応じてコードを強調表示してくれます。
なんというか、Notionは「こうできたらいいな」って思うことはなんでも実装されている感じで、ツールの分かりやすくする上ではマイナスでもあるのですが、工夫しながらツールを使いたい人にはたまらない魅力になってる気もしますね。
ともあれ、ソースコードは読み解きやすくなり、見た目も美しく、選択した言語がコードブロックの下部に表示されるのも分かりやすい。この辺りもチュートリアルであるコピペテックとは相性が良かったわけです。
❸ 管理がしやすい
Notionはページをツリー構造で管理するのですが、フォルダは存在しません。ページの配下にフォルダを作らずにそのまま子ページを作っていく。
この画像のように書籍単位でまとめておくと、表紙にあたる親ページを外部公開するだけで子ページも公開でき、バックアップや内部共有用にコピーするのも書籍単位で簡単にできます。
Webサイトの構成はフォルダ構造よりもこちらに近いので、公開されるコンテンツの構造とNotion内で管理される構造が一致するのもいい感じです。
細かい良い点は他にもありますが、Notionを選択した直接的な要因はこんなところです。
注釈を増やしたくなる
今回はあまり時間を取れなかったので、PDF版をほぼそのままNotionに乗せただけだったのですが、せっかくWikiっぽくハイパーテキストを書きまくれるツールなので、以前書いた東京防災アプリのような注釈をうまく使ったコンテンツを書きたくなります。
東京防災の注釈がそうであったように、おまけ要素ではなく、存在感があり、より深く知りたい人の欲求に応えるような注釈。まあ、それはまた別の話ですね。
いずれにしてもNotionは良いツールです。
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