幻の読書感想文
今年の夏休みは息子に読書感想文講座を受けてもらってみた。3時間程度で感想文がマルっと終わるという、親からすると魅惑の講座。
息子の通っている小学校では、夏休み中に感想文そのものを書かせるのではなく、感想文を書くための準備作業をプリントの穴埋め形式で行わせるところまでなので、宿題としては感想文を書きあげる必要はない。ただまあ、1度書き上げるレベルまで到達してしまえば、穴埋めも楽だろうし、授業で感想文を書くのもスムースにいくだろうと。
講座の売り文句通り、3時間で書きたい原稿用紙の枚数に応じた読書感想文の下書きが書き上がった。型にハマったものではなく、子どものこれまでの経験や感情が反映することを求められるので、親としても、「ここでこれを書くのか」と、ちょっと新しい発見があったりもする良いものができていた。
あとは清書するだけ。素晴らしい講座だと思う。
ただその後、「せっかくだから清書もしておきなよ」と言ったところ、「これを学校でそのまま書きたくない」と、ちょっと泣かれてしまった。どうも、自分の体験や考えに深く踏み込んだ箇所を学校でみんなに伝えたくはなかったようだ。
「良く書けてるし、恥ずかしさを感じるような内容じゃないぜ?」と話しもしてみたが、気持ちもわからんでもないので、学校では好きに書きなとなだめて終わった。日の目を見ることのない、幻の読書感想文だな。
想像するに、他の子たちがどんどん書き上げていく講座内の空気に飲まれ、普段の授業では、学校の友達の前ではさらけ出さないことを引っ張りだすしかなかったようだ。真面目な奴。
宿題自体は終わったし、あの内容を講座内で書いたこと自体に意味がある。何よりそんな感想文を読めただけで自分は満足しているので、あとはまあ、学校で自分の好きなように書けば良い。今回の講座を受講しなければ読めない類の文章だったと思うとすごいことだとも思う。
自分のことを話せるようになった方が色々と楽にはなると思うが、そんな簡単にはいかないか。
とりあえず来年も受けてもらおう。
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